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黒田博樹の13人完全投球を検証。
“宝刀”ツーシームに次ぐ主力は? 

text by

田口元義

田口元義Genki Taguchi

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photograph byTadashi Shirasawa

posted2015/03/09 11:20

黒田博樹の13人完全投球を検証。“宝刀”ツーシームに次ぐ主力は?<Number Web> photograph by Tadashi Shirasawa

前売り券2万枚があっという間に完売したという黒田のOP戦初登板。ヤクルトの選手からは「ボールかと思ったらド真ん中でした」「無駄な球が全くなかった」と驚きのコメントが。

“宝刀”ツーシーム以外で気にしていた球種とは?

 ヤクルト戦で投じた39球のうちメインの球種だったのが、メジャー時代の宝刀ツーシームで20球。残りは1球のみのカットボールを除けば、どの球種も5球前後だった。

 そのなかで特筆したいのがスライダーである。黒田はキャンプで、この球種を積極的に投げることを示唆していた。

「去年までスライダーを投げていなかったんでね。キャッチボールでは変な力みもないんでいいかな、とは思いますけど、いい時も悪い時もあるんで。年によっても(使う球種が)変わるでしょうけど、当然、軸になっていくボールだとは思っています」

 実績のあるベテラン、ましてや黒田なら、オープン戦初登板での結果が重要視されることはない。であれば、自分が求める球種を率先して試してもいいはずなのだが、試合ではたったの4球しか投げなかった。

「変化球は、自分のなかではもうひとつ」と、黒田は総括した。それよりも、「どんどんストライクゾーンで勝負していって、バッターにプレッシャーをかけていく」ことを最優先にマウンドに上がった。

「黒田ならやってくれる」の期待に応える男。

 真剣勝負のペナントレースに突入すれば、打者との高度な駆け引きが求められてくる。それまでに、スライダーをはじめ、カーブ、カットボールなど横系の変化球の精度を高めていけばいい――。ストライクゾーンだけで打者13人をパーフェクトに抑えるほど、卓越した投球術を誇る投手である。幅広い投球をコンスタントに実現できれば、優位に立てるマウンドも必然的に増えるわけだ。

 黒田は今の自分を認識し、パフォーマンスに反映できている。

 たった1試合の登板でそれを証明した男なのだ。周囲の、「黒田ならやってくれる」という期待に応えられないわけがない。

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黒田博樹

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