野球クロスロードBACK NUMBER
黒田博樹の13人完全投球を検証。
“宝刀”ツーシームに次ぐ主力は?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byTadashi Shirasawa
posted2015/03/09 11:20
前売り券2万枚があっという間に完売したという黒田のOP戦初登板。ヤクルトの選手からは「ボールかと思ったらド真ん中でした」「無駄な球が全くなかった」と驚きのコメントが。
淡々と予定を消化しながら、やる時はやる男。
「もう1回ブルペンに入って、その後にフリーバッティングで投げるスケジュールですけど、出来次第というか、そこで多少スケジュールは変わってくるかもしれません」
2度目のブルペンに入った2月20日、黒田は今後の予定について、「出来次第」と慎重さを強調していた。
その言葉に反し、スケジュールは順調に消化されていく。
2日後の22日には3度目のブルペンでの投げ込みを行ない、25日にフリー打撃登板、28日と3月4日には実戦形式のシート打撃。この時から黒田は、先を見据えたコンディショニングを行なっていたのだ。
自身の目的を、黒田はこう説明していた。
「シーズンで8回、9回投げるのであれば、イニング間の球数を含めると150球は投げることになるんでね。そう考えると、100球以上は投げるブルペンも必要かな、とは思っています。(メジャーと日本とでは)登板間隔は違うと思いますし、自分でもその準備はしておかないといけない」
「こそっと100球投げたこともあった」
キャンプでのブルペンからオープン戦初登板直前のシート打撃まで、平均すると50球前後しか投げてこなかった。メジャー時代はチームが投球制限を設けており、自主トレで「こそっと100球投げたこともあった」ことを吐露した黒田ではあるが、日本では一度も100球以上の投げ込みを行なっていない。ということは、仕上がりは上々なのだろう。
「メジャーみたいに球数を少なくするわけにはいかないから、ある程度は投げておかないといけない。登板間隔もそうですけど様子を見て変えるところはあると思います。そこは本人がよくわかっているでしょう」
畝龍実投手コーチがそう語っていたように、現状は黒田自身が一番理解している。だからこそ、オープン戦で急遽、予定より長いイニングを投げることになっても、自分のパフォーマンスを全うできたのだ。
その時の最善の手法を実践していく。そしてオープン戦では、その投球内容にも黒田のテーマを垣間見ることができた。