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最後の2ステージ覇者を覚えてる?
横浜・中澤佑二が語る、特殊な準備。
posted2015/03/06 11:55
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph by
Takuya Sugiyama
2004年12月、「最後のチャンピオンシップ」と銘打たれたファーストステージ覇者・横浜F・マリノスとセカンドステージ覇者・浦和レッズの一戦。
互いに譲らず、緊張感の途切れない展開のなか2試合計1-1でPK戦に突入し、最後に笑ったのはマリノスだった。
最後のチャンピオンシップで、最後に笑ったマリノス、そして最後の大会MVPに選ばれたのは守備の要、中澤佑二だった。味方のクリアミスでゴール前にこぼれたボールをはじき飛ばし、1人退場しながらもレッズの前に敢然と立ちはだかった。
昔の取材ノートをめくってみると、中澤のこんな言葉を書き記していた。
「MVPは1対1で(エメルソンを)止めていた河合(竜二)ですよ」
謙遜するコメントの後に、メモを付け加えていた。
「代表との過密日程
左足首の痛みを我慢
毎日ケアに時間をかけていた
スパイクも練習では足首に負担の少ないものを使用」
などと原稿に取り入れる要素を走り書きにして。そしてチャンピオンシップの数日前に聞いた言葉を二重丸で囲んでいた。
「チャンピオンシップが終わったら、立てなくなってもいいんです」
準備で最善を尽くし、試合でベストを尽くす――。
11年ぶりの2ステージ制は、以前と違うシステムに。
あれから10年が過ぎ、Jリーグは2015年シーズンの開幕を迎えようとしている。
今季は従来の1シーズン制から変更され、2ステージ&チャンピオンシップ制が復活する。しかし、両ステージ覇者が戦うという以前の方式から、年間勝ち点1位チームが決勝にシードされ、年間勝ち点2、3位の2チームと、両ステージ優勝の2チームを合わせた4チームが1回戦、準決勝を戦うトーナメント方式に変わる。
しかし制度は変わろうとも、あの男は変わっていなかった。