濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
スクリーンにも押し寄せるMMAの波。
映画で格闘技はどう進化してきた?
posted2015/02/28 10:35
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
2013 Beijing Starlit Film and TV Culture Ltd.co
近年の世界的なMMA人気、そのバロメーターは大会数や視聴者数だけではない。
映画界にも、MMAの波が押し寄せているのだ。MMAを題材にした映画、ファイターが出演した映画は多数。昨年、公開された『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』ではアメリカンコミック最高のヒーローの一人がリアネイキッドチョーク(裸絞め)で敵を倒し、ジャッキー・チェンも『ポリス・ストーリー/レジェンド』でケージファイトを披露している。
今年1月から日本公開されている中国=香港映画『激戦 ハート・オブ・ファイト』は、文字通りの“MMA映画”だ。社会の底辺であえぐ二人の主人公が、それぞれの理由で闘いの場に身を投じる――つまりは『ロッキー』の変奏曲と言っていい。
「MMAを中心にすれば新鮮でエキサイティングな映画になる」
ダンテ・ラム監督は、もともとこの映画をボクシングものとして構想していたという。しかし「アジアや世界でMMA人気が高まり、それを中心にすれば新鮮でエキサイティングな映画になると思いました」。
映画だから、もちろんファイトシーンに誇張はある。とはいえ劇中の試合で使われる技は、ほとんどが“実在”するものだ。飛び上がって金網を蹴り、その勢いでハイキックを打ち込む“三角飛びハイキック”も、かつてアンソニー・ぺティス(現UFCライト級王者)が実際に見せた技。
何より、この映画ではMMAという幅広い技術を要する格闘技への“取り組み方”がリアルに描かれている。