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女子フィギュア界を圧倒するロシア勢。
四大陸メダリストは対抗できるのか? 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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posted2015/02/24 10:40

女子フィギュア界を圧倒するロシア勢。四大陸メダリストは対抗できるのか?<Number Web> photograph by Getty Images

四大陸選手権の表彰台。左から銀の宮原、金のエドモンズ、銅の本郷。3月下旬の世界選手権までに、どれほどの成長を見せられるか?

ロシア勢との大差の理由、GOEの問題。

 エドモンズが主張するように、本大会でも欧州選手権でも、メダリストたちのできるジャンプの種類にも構成にも、そこまで大きな差はない。

 ではこのスコアの差は、どのようなところから来ているのか。

 鍵となるのは、GOE(グレード・オブ・エクスキューション)である。ジャンプなど個々の技の出来栄えに対して、ジャッジがプラスあるいはマイナスの1から3で評価をつける。欧州選手権のトゥクタミシェワのジャンプはエッジが正確で、テイクオフに勢いと高さがあり、ほとんどプラス2か3の加点がついた。対してエドモンズはフリップの不正エッジに対してマイナス評価があり、全体的にジャンプに対する加点が少ない。要するにジャンプの種類は同じでも、その質の違いが点差となって積もったのだ。

 また全体の技の質が高いと、自然に5コンポーネンツも底上げされていく。完成度の高い演技として評価されるのである。

今季の女子で200点台をマークできるのは?

 浅田真央、カロリナ・コストナーらのベテラントップ選手たちが競技に出ていない今季、国際試合で総合スコア200点越えをした女子は2人しかいない。GPファイナル、欧州タイトルを手にしたトゥクタミシェワがストックホルム欧州選手権で出した210.40。そして同じ大会で2位となった16歳のエレナ・ラジオノワが出した209.54が、今シーズンの女子のトップ2スコアだ。

 採点はジャッジの顔ぶれや会場の雰囲気などによっても左右され、違う大会のスコアをそのまま比べることはできない。それでもやはり、各選手がそれぞれベストな演技をすればどのくらいの点が出るのか、一応の目安になる。

 上海世界選手権に出場する予定の選手で、この2人以外に200点台を出したことのある女子は、ソチ五輪で205.53を出した米国のグレイシー・ゴールドのみ。だがゴールドは疲労骨折から回復したばかりでまだ調整ができていなかったのか、四大陸では4位に終わった。今のところ、世界タイトルにもっとも近いところにいるのはやはりロシアの女子と考えて間違いないだろう。

【次ページ】 では、日本女子はどう対抗する?

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