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南野拓実「残された時間は多くない」
視線はすでにザルツブルクの「次」へ。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byAFLO
posted2015/02/20 10:40
リオ五輪を目指す五輪代表チームのエースでありながら、ブラジルW杯でも予備登録メンバーだった20歳の南野拓実。ザルツブルクをステップアップの場にできるか。
ザルツブルクに長居しては、ステップアップは望めない。
ただ、試合が終わったあと、ベンチコートに身を包んだ南野の話はピッチの上で表現したプレーとは少し異なる印象を与えた。
南野は、悲観することもなく、もちろん楽観する様子などはおくびにも出さず、デビュー戦を振り返っていった。
「そんなに残された時間はないと思っているので。チームの約束事を理解した上で、自分のプレーを見せていかないといけないと思います。個人的にはもっと出来たと思うし、まだまだ……」
いきなり口にしたのは、危機感だった。
昨シーズンが終わってから、ザルツブルクが選手の獲得に費やした総額は730万ユーロ。一方で、それまで所属していた選手が移籍したことで得られた総額は3920万ユーロ。この数字を見ても、一目瞭然だが、若くて優秀な選手はザルツブルクで経験を積み、そこを足がかりにビッグクラブへ羽ばたくのだ。
確かに、ザルツブルクはオーストリアの強豪だ。しかし若い選手からすれば、このクラブに長く所属しないことが、ステップアップの条件でもある。ザルツブルクでゆっくりと自分の実力をアピールしようなどと考えているようではキャリアアップは望めない。そんな本質を南野はしっかりと認識していた。
「日本よりも貪欲な選手がいるのは感じています」
だから、ウインターブレイク明けの初戦でスタメンの座をつかんだことについても、こう話した。
「嬉しい気持ちよりも、『ここからだ!』という気持ちの方が自分的には強いです。そういう意味では、今日の試合では物足りなさというのを自分では感じているので。もっと存在感を出して、チームの勝利に貢献できるようにやっていければいいかなと思います」
そんな南野は、ヨーロッパにやってきて新鮮な発見があったという。
「日本よりも貪欲な選手がいるというのは練習から感じています。自分にも、そういう気持ちの部分がもっと必要なんだなと感じましたし、それくらいの姿勢でやっていければいいと思います」