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東芝に負けた帝京大、大粒の涙……。
日本選手権、学生vs.社会人の白熱。
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byTamon Matsuzono
posted2015/02/16 12:00
善戦及ばず東芝に敗退した帝京大。帝京大の流大主将は「とにかく悔しい思いで一杯です」とコメント。岩出監督は「(負けたとはいえ)見えてきたものは大きいです」と、雪辱を誓った。
16点差のハーフタイム。帝京大主将が反撃の狼煙。
前半37分、帝京大は東芝陣に攻め込み初めてのPGチャンスを得る。
SO松田力也が狙ったキックは左ポストを直撃。このリバウンドを帝京大FL杉永亮太が確保し、SO松田のパスから途中出場のCTB濱野大輔が右中間インゴールに走り込んだ。5-21。
16点差のハーフタイム。
「これで面白くなった」
帝京大SH流大(ながれ・ゆたか)主将はそう思ったという。
「スクラムは確かにプレッシャーを受けているけど、タックルもブレイクダウンも対等に戦えている。トライを取られたのも、力負けというよりもポッカリ穴があいたところ。悲観することはない。後半はもっとファイトしよう」
しかし、後半も先手を取ったのは東芝だった。
「帝京大の選手は、トップリーグでもすぐレギュラー」
3分、右ゴール前ラインアウトのモールからFLスティーブン・ベイツがサイドを突き、WTB大島が右中間にトライ。14分には相手ゴール前左のスクラムを猛然と押し込み、PKを得てもまたスクラムを選択して押しておいて(スタンドからは「大人げないぞ!」のヤジが飛んだ)、森田主将に代わって入っていたSO廣瀬俊朗が逆サイドへ鮮やかなキックパスを送り、WTB伊藤真が帝京大WTB磯田泰成のタックルをはじき飛ばしてトライ。東芝が31-5と26点差をつけた。
ここで東芝は日本代表最多キャップのベテランFW大野均、7人制日本代表のエースFB豊島の2人をベンチに下げる。
1回戦から日本選手権を戦う東芝は、決勝まで戦うと4連戦になる。帝京大に勝てば、1週間後には、プレーオフ決勝から休養十分のヤマハ発動機と戦わなければならない。
そんな思いで選手を交代した東芝の冨岡鉄平ヘッドコーチは、しかし、ため息をつくことにもなった。
「いつもより早いタイミングで選手交代をしたことで、我々の甘さが出てしまった。帝京大は一人一人、トップリーグでもすぐレギュラーでやれるような選手が揃っている。少しでも我々にほころびが出れば、スコアする力はある。それは分かっていたけれど……」
冨岡ヘッドコーチの心配が、現実になった。試合はここから帝京大の時間に入るのだ。