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打撃のための時間を、守備で稼ぐ。
巨人・岡本和真は清原になれるか。
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2015/02/13 10:30
智弁学園から巨人入りした岡本和真。国際大会などでは木のバットで鋭い打球を放っており、プロでもバッティングは通用しそう。そのためにも、守備の安定を急ぎたいところだ。
打者として慣れるための時間を、守備で稼ぐ。
大田の入団当時、一軍打撃コーチを務めていた篠塚和典がこんな話をしていたことがある。
「彼も守備を無難にこなしていれば、もっと早く一軍に定着していたと思いますよ。原監督の後輩でもありますしね。でもサードで出て、いきなり暴投したりすると、そのインパクトが強くて使いにくくなるんですよ。
19歳、20歳ぐらいで使える選手というのは、やっぱり最初は守備。守備に自信を持っちゃえば、あとは打つ方に専念すればいいだけなんだから。素質のある選手なら、2割5分ぐらいでも我慢して使ってもらえる。高卒野手で成功したのは、打者としてのタイプはまったく違うけど、最近では坂本(勇人)ぐらいじゃないかな。あいつは2年目からショートに定着したでしょう。彼は守りがよかったからね」
岡本は高校時代、一塁手だったが、特別うまかったという印象はない。巨人の構想では将来的には三塁を守らせたいようだ。しかし、大田のように守備で苦労しそうであれば、早々に外野手にコンバートするという手もある。そこは首脳陣の見極め次第だろう。
打者というのは投手に対して常に受け身であるため、慣れるまでにとにかく時間がかかる。高卒で、長距離打者となれば、なおさらだ。岡本の才能を開花させるために必要なのは、一軍で過ごす時間だ。その時間を稼ぐために欠かせないのが守備力なのだ。