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吉田麻也が語る好調サウサンプトン。
CL出場、契約延長、名前表記変更。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byAFLO
posted2015/02/10 12:00
2018年シーズンまでの契約延長に合意した吉田麻也。ロンドン五輪を機にやってきた男は、完全にプレミアリーガーとしての地位を固めているのだ。
吉田が観客に拳を突き上げるシーンが大きく映し出された。
試合に出たり、ベンチに座ったり。それが3番手の吉田の現状だ。それでも、リバプールに移籍したデヤン・ロブレン(クロアチア代表)がいた昨季、なかなか試合に出ることすらできなかった状態からは大きく前進している。試合にさえ出られれば、吉田はつねに勝負を掛ける機会を探っている。
今の吉田の、正直な気持ちはどんなものだろうか。
「たとえ3番手でも、やらなければならない仕事がある。バックアッパーとして、チームの緊急時にも対応しないといけないし、そこで結果を出すことでチームの一員としても認められる。もちろんポジションを奪うための勝負は続けていく。でもいまはチームが勝つために、その時に応じて自分が何をすべきか、何ができるかを最優先に考えている。だから自分が出た試合でチームが勝てないことが一番もどかしい。逆に勝利できれば、やっぱりこれほど最高なことはないんです」
勝利を呼び込んだ最後のパス。マネのゴール後、吉田が観客に向かって拳を突き上げるシーンが、中継映像でも大きく映し出されていた。
この瞬間こそが、今の吉田が求めているもの。これこそが、プレミアで戦うやりがいなのである。
「愛称ではなくて、日本人DFとして知ってもらうために」
今や、誰もが彼のことをマヤと呼ぶ。しかし、今季からユニフォーム表記は“YOSHIDA”に。すでにシーズンが始まり約半年が過ぎているが、その理由はこうだった。
「愛称ではなくて、きちんと日本人DF、日本代表の“吉田”として、イギリスの人たちにも知ってもらうためです」
オーストラリアで敗北した選手は皆、すでに次なる個々の世界に突入している。吉田も、ここから数シーズンはまたプレミアでの研鑽が続くことになった。個人の成長に向けた戦い、“YOSHIDA”を広めるための戦い。
そしてその一つ一つが、再び日本代表の勝利の貢献に直結すると信じて。