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吉田麻也が語る好調サウサンプトン。
CL出場、契約延長、名前表記変更。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byAFLO
posted2015/02/10 12:00
2018年シーズンまでの契約延長に合意した吉田麻也。ロンドン五輪を機にやってきた男は、完全にプレミアリーガーとしての地位を固めているのだ。
アジアカップからの復帰後も、出場が続き……。
その後、アジアカップを経て1月下旬にチームに復帰すると、2月1日の23節・スウォンジー戦ですぐに先発出場。チームは敗れたが、代表で味わった苦々しい思いを、吉田はすぐにプレミアのピッチにぶつける機会をしっかり手にしていた。
そして24節のクイーンズパーク・レンジャーズ戦。CBとして出場した吉田だったが、前半途中に左サイドバックが負傷交代したことに伴い、彼がその空いたサイドの位置に入った。
ただでさえ本職ではないSBでのプレー。さらに今回は利き足とは逆の左のサイドに入り、余計にぎこちなさが目立った。
それほど高い位置まで進出することはなく、自分の裏のスペースにボールを出されても、シンプルなクリアで対処。ボールを持っても、時折好フィードは出したが、全体的に攻守ともに無理をしないプレー選択を続けていた。
「ラスト5分にかけていました」
そんな吉田が最後に、大仕事をしてみせた。
最後の攻撃参加、そして勝ち点3への値千金アシスト。
試合は終盤まで0-0の膠着状態。アディショナルタイムは4分、すでに時間は92分を過ぎている。
敵陣右サイドで味方がボールを持つと、左サイドに勢い良く走り出した選手がいた。背中には3番の文字。名前の表記は今季、“MAYA”から“YOSHIDA”に変わっている。最後のチャンスとばかりに、手を上げてオーバーアクションでボールを呼び込む。味方はその走り込みの勢いに託すようにパスを送る。
吉田はボールサイドに寄せてきた相手DFよりも一足早くボールにタッチすると、前方ペナルティエリア内にいたセネガル代表のサディオ・マネに、ダイレクトで柔らかな縦パスを入れた。
吉田のパスがスッと足元に入る。マネは反転して巧みに左足を一閃、ゴールネットが豪快に揺れた。チームに価値ある勝利をもたらす決勝点。SBの吉田が、チームに勝ち点3をもたらす攻撃参加をしてみせたのだ。