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原監督、プレーヤー部門で殿堂逃す。
曖昧な投票基準と、問われる「見識」。

posted2015/01/29 10:50

 
原監督、プレーヤー部門で殿堂逃す。曖昧な投票基準と、問われる「見識」。<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

名指揮官として一時代を築いている原辰徳監督。プレーヤーとしての殿堂入りは逃したが、エキスパート部門での選出が濃厚だ。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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Naoya Sanuki

 2015年の野球殿堂入りが1月23日、発表された。

 今年新たに殿堂入りしたのは、競技者表彰では元ヤクルトの古田敦也氏の一人。エキスパート部門は一人もおらず、特別表彰で日本のリトルリーグの創設、発展に尽くした林和男氏と、全国高校野球選手権大会の前身である全国中学優勝野球大会を創設した朝日新聞社創始者の村山龍平氏(いずれも故人)の2人が選ばれた。

 プレーヤー表彰で当選した古田氏は、現役時代には野村克也監督の愛弟子としてヤクルトの5度のリーグ優勝、4度の日本一に貢献。捕手という重責の中で2000本安打を達成し、盗塁阻止率もリーグ1位を10度マークするなど攻守に活躍。資格取得から3年目にして文句なしの殿堂入りとなった。

 その一方で話題になったのが、巨人・原辰徳監督の落選だった。原監督はプレーヤー部門では今年がエントリーの最終年で、過去2年は192票、196票と票を伸ばしてきたが、結果的には243票で、当選に6票及ばなかった。

 現役時代の原監督は、ONが去った後の巨人の4番としてチームと球界の屋台骨を支えてきた。一方で成績的には通算1675安打で2000本安打には遠く及ばず、タイトルも打点王を1回獲っただけである。そういう意味では記録に残るというより、記憶に残る選手の一人だったと言えるだろう。

過去には監督としての実績と合わせての選出も多い。

 2002年に長嶋茂雄監督(現終身名誉監督)の後を受けて巨人の監督に就任すると、延べ11年間で7度のリーグ優勝、3度の日本一を達成。監督としては特筆すべき実績を残した一人に数えられる存在となっている。そのため原監督のケースも、現役時代の活躍と監督としての実績とを合わせて殿堂入りを予想する声があったのも事実だった。

 過去には西本幸雄元近鉄監督、上田利治元阪急監督、広岡達朗元西武監督、古葉竹識元広島監督、森祇晶元西武監督ら、現役時代には殿堂入りするほどの成績を残していないものの、監督としての実績と合わせて選出された例は多い。

 もちろん当時はプレーヤー部門とエキスパート部門の選考は分かれていなかった。プレーヤー部門はあくまで現役時代の成績、数字が絶対で、監督としての実績を評価するならエキスパート部門で選出されるべきという考えもある。そこが明確な基準となるなら、それも筋は通る。

【次ページ】 殿堂入りの最大の問題は、投票基準の曖昧さ。

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