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セリエAを揺るがす“2015年問題”。
外国人枠、代表との関係、チーム減? 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2015/01/08 10:50

セリエAを揺るがす“2015年問題”。外国人枠、代表との関係、チーム減?<Number Web> photograph by AFLO

問題発言に加え、脱税や職務怠慢で何度も有罪判決を受けているタヴェッキオ会長。その手腕やいかに。

イタリア人選手の枠が減る可能性も?

 ただし、肝心の査定要項が“過去1年で代表招集2試合以上”といった具合で緩すぎるため、「高尚な改革のお題目に反してハードルが低すぎる」と選手会から反発の声が上がった。

 地元紙も「放出枠を使うことなく、EU外選手の追加補強が実質可能になる。改革は有名無実か」と、早速新ルールの“穴”を指摘した。各クラブが新たな裏技を繰り出すことはすでに予見されている。

 例を挙げるなら、アルゼンチン代表FWテベスとチリ代表MFビダルを抱えるユベントスが、即戦力や若手の補強に2枠を使った後で、アルゼンチン代表MFマスチェラーノ(バルセロナ)を「+1枠」で獲得、というパターンだ。この場合、イタリア代表MFマルキージオがポジションを失う。

 改革の趣旨とは真逆に、イタリア人選手の枠が結果的に一つ減る可能性も高い。

 新ルールの矛盾や問題点について、タヴェッキオの参謀役である協会参事ロティート(ラツィオ会長)は「収支均衡化のノルマもあるから問題は起こらない」と眉唾ものの主張を展開している。

 現場を代表する選手会や監督協会は、改革導入を決した11月の投票で反対票を投じていたが、下部リーグの大票田を持つタヴェッキオ会長の政治力に押し切られた格好だ。

W杯での2大会連続GL敗退で、大幅な予算削減が。

 協会には改革へ突き進まざるを得ない事情がある。

 昨年のブラジルW杯で、イタリアは2大会連続グループリーグ敗退という醜態を晒した。惨敗を受けて、サッカー協会の予算を握るCONI(イタリア五輪委員会)は、約2000万ユーロに達する来年度からの大幅な予算削減を打ち出した。

 慌てふためいたタヴェッキオは、CONI会長とのトップ会談に持ち込み、何とか削減の減額を取り付けたが、危機感に火が点いた。

 昨夏の就任前から見え隠れする功名心も手伝ってか、タヴェッキオは12月中旬にゴール判定システムである「ゴールラインテクノロジー」の来季導入まで決めてしまった。これもプレミアリーグに倣ったもので、カルチョ界の政友であるミラン副会長ガッリアーニに水面下で暗躍してもらい、多数派クラブの賛意を得ている。

 昨夏8月の就任から間もない新会長タヴェッキオは、あの手この手で改革に取り組んでいるが、問題は、現場やファンに対する彼の求心力がまるでない点だ。

【次ページ】 タヴェッキオが犯した人種差別発言。

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