F1ピットストップBACK NUMBER
2014年は“元王者”受難の時代。
来シーズンのF1は逆襲の年に?
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2015/01/04 10:50
アロンソの2014年の最高成績はハンガリーGPの2位、ドライバーズランキングは6位。フェラーリに移籍後最低の成績となり、来季は新天地マクラーレンでの巻き返しを誓う。
前年王者がチームメイトに敗れ……。
最近の20年間のF1で、前年王者が翌年にチームメートに年間獲得ポイント数で劣ったケースは4度しかない。
それは'84年の王者ラウダがチームメートのプロストに負けた'85年。'88年王者のアイルトン・セナがプロストに王座を奪われた'89年。そして、'07年の覇者キミ・ライコネンがフェリペ・マッサに負けた'08年。そして'09年王者のバトンがハミルトンに敗れた'10年だ。
それ以外は、'87年のプロストも、'92年のセナも、'97年のデイモン・ヒルも、'00年のミカ・ハッキネンも、'05年のシューマッハーも――どの王者も少なくともチームメートには勝っていた。
'14年のドライバーズポイントで238点のリチャルドに対して、71点もの差をつけられ完敗したベッテル。その心中は察するに余りある。
受難の1年は終わった。
F1界でもっとも長い歴史を持つフェラーリ。現役最強と称されるアロンソ。そして、ディフェンディング・チャンピオンだったベッテル。'14年は、この王者たちが揃って厳しいシーズンを送った。
これは裏を返せば、F1に新しい勢力、ドライバーが台頭してきたことを意味する。まさしくいまは時代の変わり目なのだ。
しかし、だからといって、元王者が過去のものになったわけではない。なぜなら、時代は回り続けているからだ。
伝説のシンガー、ボブ・ディランは名曲『時代は変わる』でこう歌っている。
「勝負はまだついていない。いま負けている者がいずれ勝者になる日が来るから」
チーム代表を交代させたフェラーリ、チームを変えたアロンソとベッテル。彼らもまた、変わり続けている。
受難の1年は終わった。勝負はこれから。2015年を楽しみにしたい。