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2014年は“元王者”受難の時代。
来シーズンのF1は逆襲の年に?
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2015/01/04 10:50
アロンソの2014年の最高成績はハンガリーGPの2位、ドライバーズランキングは6位。フェラーリに移籍後最低の成績となり、来季は新天地マクラーレンでの巻き返しを誓う。
2度の移籍を成功させたのは史上2人だけ。
例外は2人しかいない。
ひとりはニキ・ラウダ。'77年にフェラーリでチャンピオンになった後、ブラバムでタイトルを獲れず、2チーム目の移籍先となったマクラーレンで3度目の王座を獲得した。
もうひとりはアラン・プロストで、'89年にマクラーレンでチャンピオンになった後、フェラーリではタイトルを逃したが、'93年に2度目の移籍先となったウイリアムズで王座に返り咲いた。
「成功を収めるためには、正しいタイミングで、適切なチームに所属しなければならない」
F1界にはそんな格言めいた言葉がある。もとより、ドライバーの力量だけが勝敗を左右する世界ではない。チャンピオンを獲得できるチームは限られているから、そんなにチームを渡り歩いていては成功できないという諫めの意味もある。
ベッテルも、厳しいシーズンを余儀なくされた1人。
アロンソが最後にタイトルを獲得したのは'06年のルノーで、その後マクラーレン、ルノー、フェラーリと渡り歩いて、来季再びマクラーレンに復帰。
もし、4チーム目で王座に返り咲いたら、F1史上初の出来事となる。それだけ、アロンソが決断したチャレンジには重みがあるのだ。
ディフェンディングチャンピオンとしてシーズンを迎えたセバスチャン・ベッテルにとっても、'14年は辛く苦しい1年となった。ついには来季のフェラーリ移籍を決めたほどだ。シューマッハーが持つ5連覇に並ぶことはできなかったが、'10年から4連覇したことは「王者」と呼ばれるにふさわしい実績だ。しかし、その王者がチームメートに負けたとなると話は別になる。