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今も走り続けるライコネンのF1道。
弱小の古巣に移籍、それがどうした。
posted2018/09/23 11:00
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
フェラーリがついに決断を下した。2019年から、20歳のシャルル・ルクレールを起用することを発表したのだ。
名門フェラーリが、F1にデビューしたばかりのルーキーを翌年のレギュラードライバーに抜擢するのは、'78年のジル・ビルヌーブ以来のことである(結果的に'77年の後半にニキ・ラウダがチームとの確執から離脱し、その代役として'77年から起用された)。
驚いたのは、それだけではない。ルクレールに追い出される形で、今シーズン限りでフェラーリを離脱することとなったキミ・ライコネンの去就に多くのファンが衝撃を受けた。
というのも、2005年と'06年のチャンピオンで、2歳年下のフェルナンド・アロンソが、今年の8月に事実上の引退宣言をしていたからだ。
「2019年シーズンのF1を走らない。いまのF1では、優勝できそうなのは2チームだけで、そのシートは今後数年間、決まっている。将来何が起こるかはわからないけど、競争力があるうちに自分からさよならを言いたかった。現時点でF1とは、これでお別れ。さようならだと思っている」(アロンソ)
ライコネンはザウバー移籍を選択。
そのアロンソと、'05年と'07年にタイトル争いを繰り広げ、今年の10月17日で39歳を迎える現役最年長ドライバーであるライコネン。フェラーリとの契約を延長できなかった時点で、F1から引退するものだと思われていた。
しかし、フェラーリを離脱したライコネンの選択は、引退ではなく移籍だった。しかも、選んだチームがルクレールと入れ替わる形のザウバーだったことも、大きな反響を呼んだ。なぜ、ザウバーだったのか? ライコネンは次のように説明する。
「正直に言えば、ずっと前からザウバーへ行こうとしていたわけじゃない。だって、これ(フェラーリとの契約が延長できなかったこと)は僕が決めたことじゃない。彼ら(フェラーリ)が判断して、それから僕が動き出し、たまたまこうなっただけの話」(ライコネン)