「日本人の中では発揮できる」では意味が無い。

　久保は「久々に日本人の中でサッカーをしたいという気持ちはあります」と前置きしつつも、自らを引き締めるようにこう述べた。

「ただ、代表で自分らしい“尖った”プレーができたとしても、ではなぜそれが欧州でできないのか、という気持ちに自分はなると思うんです。日本人の中では発揮できても、こっちではできない、というのでは自分の中ではなんも意味のない話なので」

　何となく返ってくる答えは想像がついていた。甘んじることが嫌な性分。特にゴールを奪うこと、そしてこの世界で生きていくことに関しては、絶対に自分に甘えを許さない。

　だからこそ「誘惑も何もない街」というスイス・ベルンの地で、サッカーにだけ打ち込むことができる環境も気に入っている。

「僕自身、正直言えば今はチームではまだ“いなくてもいい選手”なのかなと思っています。絶対にコイツがいないとダメ、という存在にはなれていない。僕がなりたいのは、そういう選手。もっと突き抜けている選手でいたいけど、それにはまだ程遠い。そうなるために、どうやったら点が取れるだろうって、毎日毎日考えながらやっています。最近は少し考えすぎですけど（笑）。

　とりあえずは今季の残り試合、ひとつでも多くゴールを狙います。それで代表に選ばれたなら、そこでもアピールのためにゴールあるのみ。今年も残り少ないので、1試合1試合を大事にしていきたい」

「アグエロはよく観る。小さくても力強い選手が好き」

　冒頭のナポリ戦。実は久保には手応えもあった。

「DFに体で強く当たられるシーンも何回かありましたけど、自分では『イケるな』と思いました。相手を背負うプレーは、欧州に来てだいぶできるようになった。来た当初はコケてばかりでしたから。前で体を張るプレーは、ナポリのDF相手にも結構できていた。こういうプレーは大事だと痛感しています。

　相手の選手にも目が行きました。カジェホン（現在セリエA得点ランク2位）なんかはゴリゴリ前に行ってすごかった。イグアインも、同じようにゴールに向かっていく。最近はマンチェスター・シティのアグエロのプレーもよく観ている。小さくても力強い選手は好きですね。グイグイと前に行けるプレーはいい。自分にはまだない。だから刺激的なんです」

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