欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
ストライカーか、オールラウンダーか。
久保裕也がスイスで悩む“スタイル”。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byAFLO
posted2014/12/05 11:00
ELナポリ戦、後半からピッチに立った久保裕也だったが、グズマンにハットトリックを許し敗戦。グループ突破は最終節の結果次第だ。
久々のゴールに触れると、久保の口調が変わった。
10月に入りようやく先発の座に返り咲くと、ホームで行なわれたEL・ナポリ戦では決勝点をアシストするなど、久保は徐々に調子を上げている。
そこからさらに時間はかかったが、久保はようやくゴールネットを揺らした。
11月27日、スロバキアでのEL・スロバン・ブラチスラバ戦。前半18分のFKの場面。左サイドから蹴られたボールは、一度ゴール前ファーサイドの選手の頭に届き、その折り返しが逆サイドのスペースへ。そこに詰めていた久保は、難しい体勢ながら体を投げ出して右足でシュート。ボールはゴールに吸い込まれた。
さらに後半18分には、味方が右サイドを崩し、最後はマイナスの折り返し。ニアサイドにきっちり侵入していた久保がGKよりも先にボールに反応し、この日2ゴール目を流し込んだ。
「大したゴールじゃないですよ(笑)」
話を振った初めこそそう照れてはいたが、話していくうちに「どちらもゴール前に顔を出して、入るべき場所に入った結果生まれた得点。どんなゴールでも、結果は結果。よかったですね」と、久々に得た確かな感触を味わっていた。
浮上した、リオ五輪代表チームへの待望論。
そんな朗報と時を前後して世間に出てきたのが、手倉森誠監督率いるU-21日本代表への待望論だった。
2年後の2016年に行なわれるリオデジャネイロ五輪出場を目指す代表チーム。9月に行なわれたアジア大会では開催国の韓国に惨敗し、アジアの頂点に立つことができなかった。
久保はその韓国戦を、テレビで観ていた。
「なかなか厳しい試合でしたね。鈴木武蔵(アルビレックス新潟)が前線で孤立してしまっていたな、という印象は覚えています。やっぱり前線の選手に目がいきます。
欧州から行く、という風に期待されているのは少しは耳に入りますけど、僕はほとんど気にしていないです(笑)。あくまで日本にいる皆さんの感じ方であって、僕がそれで何か変わることはないですから」
欧州では、ゴールハンターとしての“尖った”自分を完全には出せていない現状がある。では久保が日本人だけのチームでプレーする時は、どんなプレースタイルが顔を出すのだろう。