濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
WBCムエタイ世界王座で快挙達成!
“緑のベルト”を日本人が巻く意義。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2014/11/24 10:40
大和哲也は1987年生まれの26歳。2010年にK-1の63kgトーナメントで優勝を果たし、早くから将来が嘱望されていた。
外国人王者は、ムエタイが国際化したことの証。
もしかすると、タイ側には今回の2連敗に不服な関係者がいたかもしれない。タイで行なわれる試合では、ダウンがなければ1・2ラウンドは10-10にすることがほとんど。つまり梅野の50-45はありえない。レフェリー、ジャッジはすべて日本人。コンディション作りも含め、タイでの試合であれば違う内容、違う結果になる可能性もあっただろう。
しかし、これはルンピニースタジアムやラジャダムナンスタジアムでの試合ではなく、WBCムエタイのタイトルマッチなのだ。審判団はWBCの公式資格を持っているし、採点基準もタイのようなミドルキック、ヒザ重視ではない。
もちろん、タイ人の技術や勝負強さはいまだ世界最高峰だ。一方で、ムエタイはタイだけで行なわれるものではなくなってもいる。WBCムエタイのベルトは、その象徴。ムエタイの牙城とも言える軽量級で二人の“外国人王者”が誕生したことは、この競技が世界に広まったことの証明でもあるはずだ。国籍に関係なく、大和と梅野は“ムエタイ戦士”として強かったのである。