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オシムが語るガンバ大阪と遠藤保仁。
「彼がいれば監督は必要ない」
posted2014/11/18 16:30
text by
イビチャ・オシムIvica Osim
photograph by
Sports Graphic Number
メルマガ「イビチャ・オシムの『オシム問答』」。
最新号の中身をちょっとだけ……特別にご紹介いたします!
▼Lesson.89 目次
【1】 〈今週の「オシム問答」〉
「Jのクラブがアジアで結果を残せていないのが残念でならない」
【2】 〈オシムとの対話〉
「遠藤は常に自分を、チームメイトや相手もコントロールする」
【3】 〈バドゥ・ビエイラが語るジョホールバルの真実 ~第3回~〉
「中田は強かったが、イランにも屈強な選手が中盤に2人いた」
【4】 〈ゆるゆる取材日記レロレロ〉
【5】 〈オシムの教え〉
「状況を前進させる可能性を唯一持つのがサッカーだ」
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【2】 〈オシムとの対話〉
「遠藤は常に自分を、チームメイトや相手もコントロールする」
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――元気ですか?
オシム:ああ、君はどうなんだ?
――まあ普通にやっています。
オシム:東京も、もうそろそろ寒いんじゃないか?
――ずいぶん涼しくなりましたけど、まだ寒いというほどではないです。グラーツのほうがずっと寒いのではありませんか?
オシム:ああ、オーストリアは冬に備えている。グラーツも、山ではもう雪が降り始めているからな。インドアサッカーなど、冬の大会もそろそろ始まる。サッカーばかりでなく、年末から年始にかけては、いろいろイベントが目白押しだ。
――その前にEURO予選がありますね。
オシム:年内最後のゲームで、アウェーのイスラエル戦だ。ボスニアにとっては厳しい試合だ。ワールドカップの後にチームは若返り、若い選手たちはまだ十分な国際経験を積んでいない。勝てないまでも引き分けられればいいが、結果次第では重苦しい年越しになる。
――とはいえ若いというのは、可能性もあるということですよね。
オシム:たしかにそうだが、楽観的になるにはまだ早い。ところで日本はどうなんだ?
――今日はナビスコカップの決勝があり、ガンバがサンフレッチェを破って優勝しました。
オシム:ずいぶん長い間、ガンバは勝っていなかったからな。
遠藤の知性はチームに大きなプラスアルファをもたらす。
――ええ、でもJ2から復帰した今季は徐々に調子を上げて、リーグも2位と好調です。天皇杯もベスト4に残っています。
オシム:それはいい。監督は誰なんだ。西野が戻ってきたのか?
――いいえ、日本人の長谷川健太です。元清水の監督でした。
オシム:彼は悪くない。清水でも若い選手を積極的に使って、攻撃的なチームを作っていた。ガンバのようなクラブには、うってつけの人物といえるかも知れない。それでガンバは、今も以前の選手たちが残っているのか。それともほとんどいなくなったのか?
――遠藤はずっとキャプテンをやっていますし、明神も今日は先発しました。ただ彼ら以外となると……。
オシム:二川はどうしている。出ていないのか?
――試合には出ていますが今季は交代出場が多いです。
オシム:それならいい。彼は放っておけば、100歳になってもプレーし続けるだろう(笑)。知性がありテクニックに優れ勇気もある。素晴らしい選手だ。
――遠藤は相変わらずゲームをコントロールしています。
オシム:彼はいつも同じだ。常に自分をコントロールし、チームメイトや対戦相手もコントロールする。その知性はチームに大きなプラスアルファをもたらす。彼がいれば監督は必要ない。ピッチの上に監督がいるからだ。クラブはふたりの監督に給料を払う必要はない(笑)。
――その通りかも知れません(笑)。
オシム:ナビスコの決勝は雰囲気がとてもいい。素晴らしいスタジアムと素晴らしいサポーター。あれだけの環境で試合ができるのは、選手にとってとても幸せなことだ。もちろん監督にとってもそうだが。
日本にはすべてが揃っている。このままの方向でサッカーを続けていくべきだ。サッカーをより魅力的にするために、JリーグはもちろんACLにも力を入れて人々の興味をアジアにも向けるようにする。最近、Jリーグのチームがアジアで精彩を欠いているのはちょっと問題だ。浦和やガンバが制覇して以来、もう7~8年日本はアジアで勝っていないだろう。日本はアジアをリードしていくべき国であるのだから、代表だけでなくクラブもアジアの覇権を常に争っているべきだ。
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