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佐藤由紀彦、長崎の地で引退を決意。
愛弟子・岡崎慎司との“魂”の絆。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byJ.LEAGUE.PHOTOS

posted2014/11/14 10:30

佐藤由紀彦、長崎の地で引退を決意。愛弟子・岡崎慎司との“魂”の絆。<Number Web> photograph by J.LEAGUE.PHOTOS

V・ファーレン長崎では2010年から主将を務め、2011年にはコーチライセンスも取得している。2013年にクラブは念願のJ2に昇格し、佐藤由紀彦はその精神的支柱となっている。

 もし今、「魂のサッカー人コンテスト」があったとしたら、筆者は投票用紙に「佐藤由紀彦」と書き込むだろう。迷うことなんてなく。

 反骨のクロッサーは、V・ファーレン長崎の「背番号10」を背負う。キャプテンとして最年長者としてチームを引っ張ってきた。

 38歳、プロ20年目。彼は今季、リーグ戦で1試合も出場していない。いや、昨年4月7日の徳島ヴォルティス戦で後半39分にピッチに飛び出していって以来、1年半にわたって出場していない。今季は1試合もベンチ入りを果たしていない。

 それでも、彼が魂の温度を下げることはなかった。

 先頭を切ってウォーミングアップに向かい、トレーニングで一切、手を抜くことはない。若い選手に比べて走力が足りないと感じたら、フィジカルトレに励んで走りまくった。全身全霊でサッカーに取り組む姿勢は20年間、不変である。

「俺、全然うまくないなっていつも思うんですよ。もっとうまくなりたい」

 サッカーを始めたころの気持ちを、ずっと保ってきた。ケガをしても、試合に出られなくても、38歳という年齢になっても。

魂の人は、魂の人を知る。

 清水エスパルス、モンテディオ山形(JFL時代)、FC東京(J2→J1)、横浜F・マリノス、再び清水エスパルス、柏レイソル(J2→J1)、ベガルタ仙台(J2)、そして長崎(JFL→J2)。7クラブを渡り歩き、彼はどのクラブでも熱き魂に触れたサポーターたちに愛された。その男が、ついに今季限りでの引退を決めた。

 彼とまだ話はできていないが、“やるだけのことはやった”と胸を張ると思う。ありったけの情熱をサッカーに傾けてきた男の決断に、最大限の敬意を表したい。

 その佐藤がもし「魂のサッカー人コンテスト」で誰かに投票するなら。

 筆者が想像するに、2人の名前がパッと浮かんでくる。親友でありライバルである元日本代表センターバックの故・松田直樹と、後輩の“侍ストライカー”岡崎慎司じゃないか、と。

 魂の人は、魂の人を知る――。

【次ページ】 2005年、佐藤と岡崎は清水の「Bチーム」だった。

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