サムライブルーの原材料BACK NUMBER
佐藤由紀彦、長崎の地で引退を決意。
愛弟子・岡崎慎司との“魂”の絆。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE.PHOTOS
posted2014/11/14 10:30
V・ファーレン長崎では2010年から主将を務め、2011年にはコーチライセンスも取得している。2013年にクラブは念願のJ2に昇格し、佐藤由紀彦はその精神的支柱となっている。
ユキが上げ、オカが決める。
以前、マリノスで佐藤とプレーした久保竜彦はこう言っている。
「ユキヒコのクロスは重い。ミートすることだけを考えりゃ良かった」と。
きっとボールの質だけを指しているのではない。絶対に決めてくれ、絶対に勝つぞという思いがボールにこめられているからに違いない。
魂のクロス。ほとばしる情熱。
あの年、それをずっと送り続けてきた先に、岡崎慎司がいた。
J2は残り2節。
佐藤由紀彦のことだ。今季はベンチ入りもゼロだが、出場を決してあきらめてはいないだろう。ホーム最終戦、15日の京都サンガ戦の出場を目指して、ありったけの力を注いでトレーニングに取り組んでいる姿が目に浮かぶ。
代表戦は年内残り2試合。14日に豊田でホンジュラス戦、18日に大阪でオーストラリア戦を迎える。
岡崎慎司のことだ。モチベーション高く、ゴールにこだわってくることだろう。
時間も、場所も違う。
しかし勝手に想像してしまうのだ。有終の美を飾るべく佐藤が長崎でクロスを放ち、先輩への恩返しの意味をこめた岡崎が豊田で大阪で味方のクロスに飛び込んでゴールを奪うシーンを。
魂と魂、魂の絆。
ユキが上げ、オカが決める。