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菊花賞でダービー馬は勝てない?
ワンアンドオンリーが挑む2つの壁。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2014/10/25 08:00
ダービー、神戸新聞杯と2戦続けて抜群の勝負根性を見せたワンアンドオンリー。父のハーツクライは2004年に一番人気に支持されながら7着に敗れている。
ワンアンドオンリーが抱える不安とは?
しかし、不安点がまったくないわけではない。
ひとつは、母の父が短距離で強さを見せたタイキシャトルであることだ。2400mのダービーを勝っている馬に距離のことをあれこれ言うのは失礼かもしれないが、3000mが大歓迎というタイプではないように思う。
もうひとつ、厳しい結果を予感させるのは「データ」である。
7頭の三冠馬を除くと、ダービーと菊花賞の二冠を勝った馬は'43年のクリフジと'73年のタケホープしかいない。牝馬のクリフジはオークスを含めた「変則三冠馬」なので、純然たる「ダービーと菊花賞の二冠馬」というのはタケホープだけなのである。過去74回の菊花賞に、28頭の「ダービー一冠馬」が参戦し、タケホープ以外はすべて敗れている。
なぜダービーと菊花賞の二冠は難しいのか。
ちなみに、「皐月賞とダービーの二冠馬」は2006年のメイショウサムソンまで15頭、「皐月賞と菊花賞の二冠馬」は'00年のエアシャカールまで7頭出ている。にもかかわらず、「ダービーと菊花賞の二冠馬」が1頭しかいないのはなぜだろう。皐月賞馬とダービー馬が菊花賞で対決すると、皐月賞馬が12勝4敗と断然リードしているのも不思議だ。ダービーだけが三冠のなかでも特別なレースだから、ということなのだろうか。
いずれにしても、ワンアンドオンリーが勝てば、41年ぶり2頭目の「ダービーと菊花賞の二冠馬」誕生、ということになる。
7枠15番という外目の枠もマイナスではあるが、そこは横山が道中で上手く内に誘導するだろうし、実力が頭ひとつかふたつ抜けていることは確かだ。秋華賞でのヌーヴォ同様、底力を発揮し、ほぼ確実に勝ち負けになるのではないか。