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菊花賞でダービー馬は勝てない?
ワンアンドオンリーが挑む2つの壁。
posted2014/10/25 08:00
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
先週の秋華賞につづき、10月26日の第75回菊花賞(3歳、京都芝外回り3000m、GI)も、「一強」をめぐる争いになりそうだ。
秋華賞では、単勝1.5倍の圧倒的1番人気に支持されたヌーヴォレコルトが3番人気のショウナンパンドラをつかまえ切れず、首差の2着に惜敗した。だが、敗れたとはいえ、他馬にぶつけられる不利を受けながら最後まで伸び切った走りは、春の女王の面目を充分に保つものだった。
菊花賞で「一強」と目されている、ダービー馬ワンアンドオンリー(父ハーツクライ、栗東・橋口弘次郎厩舎)は盤石なのか。
ナリタブライアン以来の「ねじ伏せる」強さ。
ダービーでは、ゲートを出てからポジションをとりに行ったため掛かってしまい、道中は、鞍上の横山典弘がずっと手綱を引きながらのレースになった。相当なエネルギーをロスしたはずだが、最後の直線で力強く伸び、皐月賞馬イスラボニータとの叩き合いを制した。理想的なレース運びではなかったのに勝った、という事実が、この馬の並外れた能力を示した形となった。
秋初戦の神戸新聞杯では、ダービーとは対照的に、ゲートを出たなりで後方につけた。道中はピタッと折り合い、3コーナー過ぎから外をマクって一気に進出。直線で内の馬とびっしり叩き合い、競り落としたと思ったら外から別の馬に来られ、一度はかわされたように見えたが、そこからもうひと伸びして差し返した。
こんなふうに相手を「ねじ伏せる強さ」で勝つ馬を見たのは、1994年に三冠馬になったナリタブライアン以来のような気がする。
最終追い切りに騎乗した横山は「前走より格段にいい」と話している。ライバルのイスラボニータは天皇賞・秋に出走するため不在という相手関係で、神戸新聞杯以上のパフォーマンスができる状態とあれば、当然、二冠獲得への期待が高まる。