野球善哉BACK NUMBER
ドラフト会議の“安全指向”に苦言。
スカウトの皆さん、出番です!
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2014/10/23 08:00
2013年のドラフト会議では、松井裕樹、大瀬良大地、石川歩に第1回指名で競合が発生した。果たして今年は?
「不作といわれる時こそ、スカウトは意見を言うべき」
米村スカウトは言う。
「実際、それができるのは戦力に余裕のある巨人だけでしょう。どのチームも、すぐに使える選手は、すぐに使いたいと思っているよ。チームをすぐに強くしようと思ったら、FAやトレードするしかない。でもそれが無理なチームは、ドラフトで選手を獲って、2、3年の時間をかけるべきだと僕は思う。
うちは昔からそうでした。('05年高校生ドラフト1巡目の)平田良介はけがしていたけど、1巡目で指名して、時間をかけた。大野も、2年くらいは戦力になるのは難しいといったけど、落合監督はそれを受け入れてくれました。いまは2人とも主力として頑張っています。福谷(浩司)にしたって、1年は待ったわけです。
上司に意見を言うのは勇気がいります。最後は上が判断することですが、上司の言うことを聞いていれば、首にならないから従っておこうという気持ちでスカウトはやりたくない。そこはプライドを持っていたい。不作だといわれるこういう時だからこそ、スカウトは意見を言うことが必要なんじゃないかな」
スカウトのみなさん、あなたたちの出番です。
筆者が取材した話では、不作の年だから、ファンの視線を気にして弱気な指名に傾きつつあるチームもあるという。選手を長く見ているスカウトの評価ではなく、「地元出身のスター」を指名することでファンを納得させようという腹積もりなのだ。
しかし、本当にそれでいいのだろうか。逆にこういう時だからこそ、選手を見続けてきたスカウトの判断が有効なのではないだろうか。そう、ものいうスカウトが必要なのだ。
改めて声を大にして、といいたいところだが、スカウトの方々はほとんどが私より年配の方ばかりだから、言葉は選ぶとして……。
スカウトのみなさん、あなたたちの出番です。