野球善哉BACK NUMBER
ドラフト会議の“安全指向”に苦言。
スカウトの皆さん、出番です!
posted2014/10/23 08:00
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
Kyodo News
あまり意味をなさない会見だなと思った。
昨季、私自身の初めての取材経験となったプロ野球新人選手選択会議(ドラフト)現場でのことだ。
ドラフト会議中、メディアの多くは控室でドラフトの様子を見守る。そして、一区切りつくと、監督の囲み取材に参加する。大まかに言って、1巡目指名選手確定後と監督が会場を去るときの二度、チーム付き広報の指示によって執り行われる。
しかし、各球団ほぼ同じタイミングで行なわれるこのプチ記者会見が、ほとんど意味をなしてない。なぜなら、その日に指名した選手についての感想を現場の責任者に聞いたところで、事情を分かっていないからだ。
1巡目指名の後の会見はまだいい。1巡目に関してはさすがにほとんどの監督が、スカウトが撮影した選手のビデオやリポートに一通り目を通しているからだが、すべての選手の総括となると、決まって指揮官の歯切れは悪くなる。
ドラフトの中心は、監督ではなくスカウト。
ただ、すべての選手を把握できていない監督に問題があるわけではない。
ドラフトとは、つまり監督のものではないのだ。
あくまでドラフトは編成部、スカウトが中心にいる戦場なのである。
なぜそんな話をするかというと、今季のドラフトが「不作」と言われているからだ。こういう時こそ、スカウトの出番だと声を大にして言いたい。
本当に今季は、不作なのか――。
「素材のある選手はちゃんとおるよ」
そういうのは、中日の米村明スカウトだ。
選手を見抜く眼力と情報戦に強いスカウトとして、関西地区では腕利きとの評価が高い。昨季の育成ドラフトでは、落合博満GMと二人で会議に参加していたというところからも、球団の彼への信頼度が分かるだろう。