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メジャー最強左腕の「最悪の1日」。
カーショーを再び襲った“悪夢”。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byGetty Images

posted2014/10/19 10:40

メジャー最強左腕の「最悪の1日」。カーショーを再び襲った“悪夢”。<Number Web> photograph by Getty Images

10月7日、カージナルスとの第4戦に中3日で登板したクレイトン・カーショー。7回に打たれ、途中降板となり、納得のいかない表情を見せていた。

個人成績よりも、優勝リングこそが重要。

 日米問わず、野球界において、「勝敗を決するのは最終的に投手力」という通説がある。メジャー取材を続ける中で、これはまさに真理だと痛感している。

 もちろんドジャースにとってカーショーは最大の戦力であり、彼の存在こそがチームをワールドシリーズ制覇に導いてくれる大黒柱であるはずだ。まだ26歳ではあるが、ここまで間違いなく“殿堂入り選手の道”を歩んできている。

 しかし、如何に素晴らしい個人成績を残そうとも、選手たちから本当の意味で畏敬される存在となるかどうかは、優勝リングをどれだけ獲得したのか、ということにかかっているだろう。

 実績十分のスター選手たちが、引退間近になると優勝を狙えるチームへの移籍を熱望するように、選手にとって優勝にまさるものはない。もちろんカーショーにとっても同じことだ。

ワールドシリーズ制覇という最大の目標達成に向けて。

「どのチームも目標にしているが、なんといってもワールドシリーズ制覇だ。それだけで十分なモチベーションになる。我々に歴史的な要素は必要ない。もちろんファンにとってワールドシリーズ制覇がどんな意味なのか理解しているし、それが達成されていないのも知っている。

 だが我々にとっては、勝つことだけを目指すこと、それが自分たちができるすべてだ。1988年以来優勝していないなんてほとんどの人は意識していない。ただ本当に優勝でき、ファンと一緒に祝うことができたなら最高に気持ちいいだろうね」

 シリーズ第1戦の登板を控え、1988年以来の優勝の可能性を聞かれたカーショーは、以上のように語った。シーズン中に最多勝や最優秀防御率を獲得したところで、ポストシーズンで勝ち上がっていかなければ、本当の意味での目標を達成することはできないのだ。

 果たして来シーズン以降、カーショーは“ポストシーズンの壁”を打破することができるのだろうか。それができない限り、ドジャースのワールドシリーズ制覇が達成されることはないだろうし、カーショーがメジャー球界で“絶対的エース”の地位を確立することもないだろう。

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ロサンゼルス・ドジャース
クレイトン・カーショー

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