セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
新2トップ、「毒蛇」、スポンサー。
コンテがアズーリに施す“荒療治”。
posted2014/09/18 16:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
ブラジルで瓦解したイタリア代表が、再び立ち上がった。
スクデット3連覇監督コンテに指揮権を委ね、アズーリはEURO2016での捲土重来を期す。
「勝負ごとに勝つというのは特別なこと。これから先、代表に携わる人間は皆同じ船に乗った者同士、一蓮托生だ」
前任者が掲げた理想主義から、勝利絶対主義へ。
伝統国復権は、偏執的ともいえる闘将コンテの常勝へのこだわりにかかっている。
“ポスト・ブラジル”の初陣に臨んだ9月4日、イタリアはW杯3位のオランダを2-0で破った。
開始3分で、FWインモービレが先制ゴールを奪い、DFマルティンスインディの退場によって試合時間のほとんどを10人で戦ったオランダ相手に快勝を収めた。
勢いをかってオスロに乗り込んだアズーリは、ノルウェーとのEURO予選初戦にも2-0で勝ち、グループHを白星発進。77年ぶりに敵地オスロでノルウェーを下す歴史的勝利を挙げた。
若き2トップが噛み合い、守備陣も輝きを取り戻した。
9月の連戦では、2試合とも24歳のFWインモービレと23歳のFWザザによるフレッシュな新2トップが先発した。初めて組んだとは思えないほど前線でかみ合った動きを見せ、それぞれが代表公式戦初ゴールを奪っただけでなく、随所で好機を作りだした。
若手にチャンスを与えながら結果を出した新監督コンテは「ブラジルW杯での怒りを忘れていない」という守備陣や、終始アグレッシブな姿勢を崩さず、相手より一歩でも早くボールに食らいつこうとしたMFジャッケリーニなど本大会の出場を逃した選手たちにも高い評価を与えた。
コンテが代表へ持ち込んだサッカーは、基本的に昨季まで率いていたユベントスのそれにあたる。戦術は3-5-2を基本に置き、攻撃時に3-3-4から4-2-4へ変化させるリスキーかつアグレッシブなものだ。最前線のFWから最終ラインまで、ポジションを問わず休みなく激しいプレスが求められる。