ゴルフボールの転がる先BACK NUMBER
「ノージャケットに罰金10万円」
男子ツアーに前代未聞の罰則規定!
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byGetty Images
posted2014/09/17 10:30
タイガー・ウッズも、会場入りは大体ポロシャツにキャップ姿。この姿を見て「だらしない」と思うファンはどれほどいるのだろうか……。
罰則の存在が、マナーの議論を低レベル化する。
それに、服は「何を着るか」と同じくらい、「どう着るか」という要素も見逃してはいけないはず。「ジャケットだけ着ていればいいのか」という話になりかねない。原色使いのド派手な幾何学模様のジャケットや、ダボダボのスーツ姿に「スポーツマンとしての規律」を感じるか、といえば疑問だ。
極端な話を持ち出したが、結局のところマナーという曖昧な分野では、それぞれのモラルで成り立っているところが大きい。罰則という明確な線引きをすることで、逆に議論が低レベル化しかねない。
「アメリカはこうだから」とか「世界標準ではないからダメだ」なんていう、薄っぺらい舶来主義めいた小言を並べるつもりはさらさらない。ジャパン・オリジナル、大いに結構。けれど本来は、規則のあるなしに関わらず、誰もが納得する立ち振る舞いができるのも、日本人のあるべき姿ではないかと思う。
繰り返しになるが、このルールは守られなかったがゆえに、厳罰化されたものだ。マナー、モラルの域を飛び越えて、罰金を含む義務にまでせざるを得なかったツアーの窮状を、秋風に感じてしまう。