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「ノージャケットに罰金10万円」
男子ツアーに前代未聞の罰則規定! 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2014/09/17 10:30

「ノージャケットに罰金10万円」男子ツアーに前代未聞の罰則規定!<Number Web> photograph by Getty Images

タイガー・ウッズも、会場入りは大体ポロシャツにキャップ姿。この姿を見て「だらしない」と思うファンはどれほどいるのだろうか……。

ファンから届く、服装の乱れへの“苦情”。

 規則改正の発端となったのは、「大人の社交場」としての日本のゴルフクラブが持つ伝統、試合をスポンサードする財界人との付き合いといったもののほかに、会場外での移動時における服装の乱れが、ファンの“苦情”めいたものになって、ツアーに届けられている現状への対策がある。

「あの選手は飛行機でTシャツ、短パン、サンダル履きだった」

……という具合で、チーム指定の揃いのスーツで移動するプロ野球選手やサッカー選手と比較されることも多い。

ゴルファーは、ツアーと契約しているわけではない。

 その見方に首をかしげたのは、米ツアーをはじめアメリカンフットボールなど各スポーツを取材している、フリージャーナリストのギャレット・ジョンソン氏。

「8年くらい前だったかな。(NBA/ロサンゼルス・レイカーズの)コービー・ブライアントが故障中にTシャツ、キャップ姿でベンチの脇に座って、非難の対象になったことがあった。『スポーツマンも身なりを整えるべきだ』とね。それから彼は、同じような状況でスーツやジャケットを着るようになった。

 ただ、バスケットボール選手はチームと契約関係にあるから、スタジアムの中ではベンチ外でもその範疇にいる。プロゴルファーたちは同じ個人事業主でも、ツアーと契約しているわけではない」

 契約社会や個人主義といわれるアメリカらしい考え方かもしれないが、PGAツアーの考え方は「コース外での振る舞いで、選手としての価値が上がるか下がるかは、それぞれの選手次第」というものだ。それは、グラウンドに審判がおらず、プレーへの責任が選手個々に委ねられるゴルフというスポーツ本来の発想とも言える。

【次ページ】 罰則の存在が、マナーの議論を低レベル化する。

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