サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
“アギーレ通”が2試合を徹底解説。
安永聡太郎が語る「らしさ」と「疑問」。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/09/12 16:30
クラブ、代表の監督として様々な「ミッション」を成し遂げてきたアギーレ監督。日本サッカー界に、彼はどんな足跡を残すのだろうか。
「森重、吉田」のダブルボランチの可能性すらある。
――システムの大きな特徴としてはアンカーを置いたことですが、ここに本来センターバックの森重選手を起用しています。
「スペインでのアギーレさんはダブルボランチの1枚に、つぶし役を置いてきました。でも相手が格上になると、2枚ともつぶし役を置くこともある。あそこで一度“掃除”してもらったうえで、2人のセンターバックが控えていることがあの人の理想だとは思うんです。
森重選手が守備時にセンターのポジションを捨てて、前の選手を捕まえに行くという話を先にしましたけど、自分たちがボールポゼッションしている攻撃時にもボール保持者より前に行くことがありました。これは個人の判断で積極的にやっていることだとは思うけど、アギーレさんが求めているのは、もっとセンターバックの近くでプレーすることなんじゃないかな、と。まあこれも、段階を踏んで指示していくことになるんじゃないですかね。
彼は森重選手をアンカーに持ってきたけど、吉田選手もそのイメージにあるのかなとは思います。スペイン時代を考えれば、相手が格上になると「森重、吉田」のダブルボランチにする可能性だってないわけじゃない。いずれにせよ、そのうちダブルボランチにするんじゃないかなっていう気がするんですけどね」
「残留を課せられて、一度も落としたことはない」
――アギーレジャパンは10月にジャマイカ、ブラジルと戦い、11月に2試合こなして来年1月のアジアカップ(オーストラリア)に向かうスケジュールになっています。これから本格化してくるわけですが、安永さんの目から見て、アギーレさんはどんなチームをつくっていくと思います?
「正直、もうちょっと試合を見ていかないと分かりませんね。ただ、スペインで僕が見た限りのことで言うと、オサスナもそうですけど、崩れてしまったチームを堅守速攻のスタイルで建て直すのが絶妙な人。とてもいい監督だとは思います。
残留のミッションを課せられて、一度も落としたことはないですし、スペイン好みのサッカーではないとはいえ、評価もされています。昨季のエスパニョールでもそうですけど、強い相手に対して、はめ込むのが実にうまい。優勝したアトレティコを開幕8連勝で止めたのが、エスパニョールでした。ジエゴ・コスタのスペースを消し、中盤をフリーにせず、ビジャにボールを入れさせなかった。相手をとことん研究して、相手に合わせて1-0で勝ってますからね。
しかし自分たちと同等、または格下相手に守備を固められたときに相手を崩すための手段を持っていたかというと、そこは未知数というか、スペインではあまり印象にありません。日本もアジアの戦いになると、相手が合わせてくるほうがかなり多いとは思うんで、そこはどうしていくのか興味がありますね。アギーレさんが日本の選手をどう使って、どういう方向性に持っていくかは楽しみです」