プロ野球亭日乗BACK NUMBER
グリエルがFA枠なら、メンドーサは?
キューバとの今後の“関係”を考える。
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2014/09/05 10:40

9月3日時点でグリエルは、出場34試合ながら打率.360、OPSはなんと1.051という驚異的な数字をたたき出している。どこまで現在のペースで打ち続けるのだろうか。
国内リーグを終えて来日する選手のコンディションは?
さて、これからが本題――。
それぐらい凄い選手を供給してくれるキューバ球界と、日本のこれからの付き合い方である。
実は現状のキューバとの選手交流システムには、大きな問題がある。それは来日する選手が、かなりの確率で故障のリスクを抱えているということである。
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日本にやってくるキューバの選手は本国の国内リーグを終えて、そのまま来日する。キューバのシーズンは毎年11月に開幕して、ポストシーズンであるスーパーリーグが終了するのが4月。そこから今度は日本に、ということになるわけだ。
いわば野球の二毛作である。
本国でフルシーズン戦った疲労を残したままで来日するので、それが故障の引き金になる可能性は否めない。
グリエルも、セペダも、デスパイネも故障している。
実際グリエルも、来日して6月6日に選手登録されたが、7月20日には左脇腹の炎症で登録を抹消されている。そうして約1カ月の休養の後、8月26日にようやく1軍に復帰するという過程を経なければならなかった。巨人のセペダも右ひじ痛などで2度の登録抹消があり、グリエルの後に来日したロッテのアルフレド・デスパイネ外野手も、右腰背筋挫傷で来日1カ月が経過したところで選手登録を抹消されている。
しかも来日した選手たちが一様に口にしているのが、キューバではほとんど経験のない人工芝でのプレーの厳しさである。
ただでさえ国内リーグの疲れを残した身体に、人工芝でのプレーの負担は大きい。それがどの選手も来日して1カ月程度すると、故障を引き起こす原因となっていると考えられるわけだ。
これは国内リーグと日本との二毛作をやっている限り、回避できないリスクと考えなければならない。要は日本側としては、そのリスクを踏まえた上で選手の獲得と起用をしなければならないということだ。
あくまでキューバの選手は“助っ人”だという意識を持つこと。また起用法に関しても、ある程度休養を入れながら使うなど、来年以降への研究課題は残されることになりそうなのだ。