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9月の直線と再生工場。
~マリナーズ、PO進出なるか~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2014/08/30 10:40
メジャートップの防御率を誇るマリナーズ投手陣の中心として活躍する岩隈久志。与四球の少なさは特筆に価する。
「再生工場」マリナーズに一票を。
知名度はそろって低い。バイメルがメジャーで投げるのは3年ぶりだし、ウィルヘルムセンに至っては、'03年にプロ入り(ブルワーズと契約)したもののマリワナ吸引で1年間の出場停止処分を受けてみずから球界を去り、5年間もバーテンダーをしていた過去がある。
彼に復活のチャンスを与えたのは、マリナーズのGMジャック・ズレンシック(かつてブルワーズのスカウト部長だった)だ。ウィルヘルムセンは肩の故障を克服し、今季これまで46試合に投げてWHIP=1.01、被打率=1割6分5厘の堂々たる成績を残している。
とまあそんなわけで、「再生工場」マリナーズは、虎視眈々とプレーオフ進出をうかがう。タイガースやヤンキースとの差は紙一重だが、私としては捨て身の投高打低を推進するマリナーズに一票を投じたい気分になっている。進出が決まれば、2001年以来の快挙だ。あれは、「新人」イチローがア・リーグ首位打者とMVPに輝いた年だった。