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9月の直線と再生工場。
~マリナーズ、PO進出なるか~

posted2014/08/30 10:40

 
9月の直線と再生工場。~マリナーズ、PO進出なるか~<Number Web> photograph by Getty Images

メジャートップの防御率を誇るマリナーズ投手陣の中心として活躍する岩隈久志。与四球の少なさは特筆に価する。

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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 大リーグの9月は、競馬でいうなら最後の直線だ。ゆったりしたペースが、4コーナーをまわるあたりから急にあわただしくなる。馬群に沈む馬。馬込みを抜け出す馬。狭い隙間に割って入る馬もいれば、大外にコースを取って末脚勝負に賭ける馬もいる。

 1995年にワイルドカード制が導入されてからというもの、9月の直線叩き合いに対する注目は以前にも増して大きくなった。

 なにしろ、直線一気の追い込みは眼につく。2001年のアスレティックス(映画『マネーボール』で描かれたシーズンだ)は、9月以降に23勝4敗の快進撃を見せた。'95年のヤンキースは22勝6敗、'02年のカーディナルスや'13年のインディアンスも21勝6敗の追い込みでプレーオフに進出している。

 最近では、'11年のカーディナルスやレイズの追い込みが眼を惹いた。'11年のカーディナルスなどは、8月末の段階でプレーオフ進出が絶望的な状況だったのに、9月の好調をキープしたままワールドシリーズをも制してしまったのだ。そこまで行くのはめったにないケースだが、今季も末脚を爆発させるチームは出てくるのだろうか。

リーグ最低の攻撃力と、リーグ最高の防御力。

 大穴の第1候補はマリナーズだ。開幕直後、私は「昨季負け越し→今季の逆襲組」として、ジャイアンツ、エンジェルス、マリナーズの名を挙げたが、マリナーズに関してはあまり強気になれなかった。新監督ロイド・マクレンドンの手腕には期待できたものの、投打の陣容がいまひとつ物足りなかったからだ。勝ち越しはできてもプレーオフ・スポットには届かず、来季の成長を待つ、というシナリオが頭に浮かんだことも否定しない。

 ところが、8月に入ってからのマリナーズは、ギアを切り替えてきた。8月1日から26日までの23戦で16勝7敗(以下データは26日終了時点)。ア・リーグ西地区3位に変動はないが、ワイルドカード・レースではタイガースやヤンキースを押え、2位につけている。しかも、内容が渋い。

 チーム出塁率(3割4厘)がア・リーグ最低(OPS=.679もリーグ最低)である一方、チーム被打率(2割2分5厘)、チーム防御率(2.92)、チームWHIP(1.14)が、どれも大リーグ全体でトップなのだ。

【次ページ】 WHIPが0点台の2大エース、ヘルナンデスと岩隈。

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