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“銀河の彼方”を目指し補強を続行!
ナポリが挑む本気のスクデット獲り。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2014/08/07 10:40
インテル、チェルシーなど強豪クラブの監督を歴任したベニテス。リバプール時代以来のCL制覇に挑む。
W杯での悔しさが、ナポリの力になる。
スイス代表MFインレルやベルギー代表MFメルテンスは、決勝トーナメントでの対戦でアルゼンチンを相手に次々に惜敗。大会を盛り上げたコロンビア旋風の一人だったDFスニーガは、“ネイマールの背骨を折った男”として、ブラジルから追われるように去った。
イタリア代表にサプライズ選出されたFWインシーニェも、期待されながら不発に終わった。気持ちの整理がつかないままナポリのキャンプへ合流し、チームのお披露目イベントで悪態をつくと、サポーターからブーイングを浴び、フロントからもお灸を据えられた。
今シーズンは彼ら一人ひとりにとって、仕切り直しや汚名返上を期する1年になる。
真に倒すべき相手は、銀河の彼方にいる。
イタリアで王座を争うのなら、守備陣の整備が定石だ。昨季3連覇を達成したユベントスは無論、CLへ返り咲くローマの2位躍進も、緻密な守備の構築なくしてはありえなかった。
しかしナポリの流儀はちがう。ビゴンSDは、より攻撃に厚みを加えるため、イグアインのバックアッパーとしてFWミチュを獲り、W杯で活躍したチリ代表MFバルガスをバレンシアから呼び戻した。
当然、補強はここで終わらない。指揮官ベニテスは「次に獲ってもらうのは、キム・ベイシンガーがいい」とお気に入り女優の名を挙げてけむに巻くものの、クラブの今夏最大のターゲットであるMFフェライニ獲得に向けたマンチェスター・Uへの攻勢は、移籍市場の最終日まで続くだろう。
エンポリやチェゼーナから勝ち点3を得るためだけなら、ここまで過剰な戦力はいらない。ナポリが真に倒そうとする相手は、銀河の彼方にいる。
「CLの決勝で、同じ背番号のC・ロナウドと勝負したい。そして、勝ちたい。俺は狂ってなんかいないぜ。元マドリスタとして言うが、このナポリはそこまで行けるはずなんだ」
MFカジェホンは、昨夏、R・マドリーから加入するや瞬く間にベニテスの信頼をつかみ、1年目にして20ゴールと12アシストの数字を残した。