セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
W杯に「出なかった選手たち」の今。
バカンスに、ビジネスチャンスも?
posted2014/06/27 16:30
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Sports Graphic Number
ブラジルW杯の熱戦真っ盛りだ。
セリエAからは、82人の選手が各国代表に名を連ねた。
しかし、代表から漏れた大多数の選手たちは、この6月をどう過ごしているのだろう。
“代表落ちした悔しさを家族サービスで発散”組の筆頭は、何といってもFWテベスだ。
シーズン終了とともに米国へ飛んだテベスは、フロリダのディズニー・ワールドで子供たちと遊びまくっている。黄色い蝶ネクタイを締めたネズミの楽園の中なら、W杯の喧騒も届かない。グラウンドでの強面を忘れたテベスは、シンデレラ城の前でミッキーと戯れながら満面の笑みだ。
名門ユベントスの背番号10を背負った野生児FWが19ゴールを挙げ、スクデット3連覇の主役になっても、アルゼンチン代表監督サベージャの考えは変わらなかった。“セレシオン”の王様はエースFWメッシであり、サベージャは異分子のテベスを招集することによって、チームの和が乱れるリスクを恐れた。水色ストライプのユニフォームへ袖を通すチャンスすら与えなかった。
悔しさをバネにテベスはスクデット獲りに全力を注ぎ、見事タイトルを勝ち取った。ただし、自分を無視したサベージャ相手に黙ったままでは、男がすたる。
「自分の選んだ選手で結果を出せればいいが、負ければ代表監督は批判されるのが当然だと俺は思うね。(6月に)ブラジルになんて行くわけないだろ。W杯はTVでも見ないよ。子供とマジック・キングダムに行く方がいい」
ジラルディーノも失意の落選。
イタリア有数の遊園地ガルダランドでは、FWジラルディーノが3人の愛娘と傷心を癒した。
5月13日に発表されたイタリア代表予備リスト30人の中に、自分の名前がないことを知ったジラルディーノは深く落ち込んだ。代表監督プランデッリとは、苦楽をともにしたフィオレンティーナ時代以来の信頼関係で結ばれていたはずだった。