ブラジルW杯通信BACK NUMBER
本田が語っていた「最悪の想定」。
初戦黒星からのGL突破“9%”に挑む。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byGetty Images
posted2014/06/19 10:40
コートジボワール戦のゴールでW杯通算3得点と日本人最多に躍り出た本田圭佑。日本がベスト8という未知の領域に足を踏み出すためには、この男の完全復活が必須条件だ。
大久保「相手が大きいのはラッキー」
攻撃では前述したこととも重なるが、じれずにボールを回し、無理な縦パスを試みないことも重要になってくる。
大久保嘉人は「相手が出て来ないなら無理なパスを入れずに後ろで回すことも必要」と焦りが禁物であることを強調。そのうえで「相手が大きいのは小さいこっちにとってはラッキー」と言い、日本人の俊敏さを生かすべきというプランを明かした。
「縦パスを入れたらフリックするなど、アイデアを出していきたい。ミドルシュートも(守備陣をおびき出すのに)有効。どんどん狙いたい」
清武弘嗣は「相手の15番(右サイドバック)が上がってくる。そうすれば日本は左のFWが生きる。練習でやってきたように、左で崩して右で仕留める、日本の得意な形を出せる」と自信を覗かせた。
そして、香川真司。初戦でまったくといっていいほど色のなかった10番だが、「コートジボワール戦では自分自身に負けた。でもこの4年間、W杯のためにと思って頑張ってきた。次はもうやるしかない」と吹っ切れた様子だ。
初戦黒星スタートでのGL突破は9%以下。
日本対ギリシャ戦の6時間前に行なわれるコロンビア対コートジボワール戦が引き分けかコロンビアの勝利となれば、日本はギリシャに敗れた時点でグループリーグ敗退となる。1試合を残しての敗退となれば、'98年フランス大会以来。右も左も分からなかった初出場時と同じ結果というのは想像もしたくないが、崖っぷちにいることから目を背けてはいけない。
1トップやボランチの人選など、メンバーの入れ替えも考えられる。思い切ってGKの入れ替えを視野に入れる可能性もあるだろう。ザッケローニ監督はどういう手を打ってくるか。
W杯出場国が32に増えた'98年フランス大会以降、初戦黒星スタートとなった46カ国で決勝トーナメントに進出したのは実に4チームだけという数字を聞き、長友佑都は言った。
「データは僕には全く関係ない。むしろそのデータを覆そうという気持ちがエネルギーになる。確率が低ければ低いほど覆してやろうと思える」
日本サッカーは悔しい思いをもう何度も味わった。「人生そんなにうまくいかない」ことは、どの選手も知っている。今回が「集大成」であるのは多くの選手共通の思いだろう。しっかりと気持ちを切り替え、100%のファイトをし、勝利をもぎ取ることで未来を掴みたい。