「南アフリカと正反対の戦い方で勝てるのは面白い」

　2年3カ月ぶりの代表合流だったが、「違和感はほとんどなかった」という。試合を見てイメージトレーニングが出来ていたし、「川崎でのプレーを出してくれ」とザックにも言われていた。

「代表、楽しいわ。みんなレベルが高いし、どんどんボールが出てくるからね。これから自分の動きとか味方のクセとか、お互いを理解していけばもっとよくなる。チャンスが増えて、点取れる可能性はドンドン高くなる手応えを感じたよ」

　指宿合宿から大久保のコンディションの良さは際立っていて、キプロス戦では後半13分から出場し、コスタリカ戦はスタメン出場、ザンビア戦は後半から出場した。プレーする時間が増えるにつれ、思うような攻撃が形になってきた。

「4年前の南アフリカの時と正反対の戦い方で勝てるのはやっていて面白いし、楽しいよ。この攻撃サッカーを貫ければ、W杯でも負けないんじゃないかな」

　大久保は、代表チームの完成度と攻撃の質の高さに、このサッカーでW杯を戦えることが楽しみでしょうがなかった。

「なんでもっといかないのかと思っていた」

　そうして迎えたブラジルW杯初戦、コートジボワール戦。大久保はスタメンではなかったが、ベンチから見ていて、前半はそれほど悪い印象を感じなかったという。

「前半は、日本ペースだった。ちょっとラインが低いかなと思ったけどね。圭佑のゴールが決まって先制点が取れたのも良かった。あえていえば、あそこで畳み掛けてもう1点ほしかったけど」

　本田のゴールの後、日本は慎重になりやや引き始めた。大久保は、そこから「いつもと違うな」という違和感を持ち始めていた。

「本来なら2点目取りに行くでしょ。でも、点を取られたくないんで下がってしまった。ハーフタイムで受け身になるとやられるから前からしっかりプレスかけていこうと監督はいっていたけど、俺もなんでもっといかないのかって思っていた」

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