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ウリエが語るW杯の戦術的トレンド。
2人のストライカーと、「暑さ」が鍵?
posted2014/06/18 16:30
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Shuichi Tamura
スペインの予想外の大敗という、思いがけない結果で幕を開けた
ワールドカップ・ブラジル大会。時間は少々さかのぼるが、
この大会の展望をある敏腕フランス人監督に聞いた。
ジェラール・ウリエはパリ・サンジェルマンやフランス代表、リバプールFCなどの監督を歴任し、現在はレッドブルのスポーティングディレクターの傍らFIFAテクニカル・スタディグループの一員として、FIFA主催の国際大会の技術分析を行っている。
専門家は、36年ぶりに南米で開催される大会をどう見ているのだろうか。大会前にパリのレッドブル事務所でウリエに話を聞いた。
ワールドカップで、サッカーの進化の全てがわかる。
――テーマはワールドカップです。つまり今日のサッカーに対するあなたの分析とワールドカップにむけての展望です。まず第一に、ワールドカップのスポーツ面での今日の価値についてですが、今はチャンピオンズリーグと主要国のリーグがプレーや戦術的なトレンドを作り出しているわけで、特にチャンピオンズリーグは……。
「いや、私はそうは思わない。というのもふたつは異なる大会であるからだ。チャンピオンズリーグはクラブの大会であり、ワールドカップやEUROはナショナルチームの大会だ。2年ごとに世界サッカーのリズムを作り出しているふたつの大きな大会がワールドカップとEUROだ。そしてこのふたつの大会から、われわれは戦術的傾向やサッカーの進化の全般的な流れを見いだすことができる。技術・戦術的な傾向などすべてだ。
チャンピオンズリーグはまったく別だ。もの凄くレベルの高い大会で、それでも本当の戦いになるのはシーズンの最後、準々決勝以降だ。ベスト8に残ったチームは、ヨーロッパでも最高の8チームだ。だから大会の期間は短いし、私が思うにとりわけ重要なのは最後の時期だ。
一方、ワールドカップとEUROも最高レベルの大会であり、サッカーがどの方向に進んでいくかを示唆する大会でもある」