MLB東奔西走BACK NUMBER
ブレーブスがたった20年で球場移転?
スポーツビジネスと地方行政の蜜月。
posted2014/06/16 10:30
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph by
Getty Images
世はW杯で賑わい、ブラジル各地のスタジアムから、その地域の様子が伝えられている。それにあやかり、今回はメジャーはもちろん、米国におけるプロチームと地域行政の密接な関係について少し考えてみたいと思う。
先日レッドソックスの取材でアトランタを訪れた時のことだ。試合前の打撃練習を見学している時に、球場の電光掲示板でブレーブス関連の広告が入れ替わりで流されていた。
(えっ、本当に!?)
その中のある広告を発見し、驚かされてしまった。それは、ブレーブスが新球場オープンに合わせ、年間チケットの先行販売を行なっていたのだ。
練習見学後に記者席に戻って調べてみたら、ブレーブスは新球場建設プランを昨年11月に正式発表していた。これに関してはお恥ずかしい話なのだが、この時点まで筆者が知らなかっただけだった。
とはいえ驚かされたのには理由がある。今回のブレーブスの新球場建設は常識的には考えにくいことだったからだ。
'90年代にメジャーで巻き起こった新球場建設ラッシュ。
メジャーリーグでは1992年のオリオールズの新球場開業以来、収益性と娯楽性がより高い“ボールパーク”型新球場の建設ラッシュが巻き起こった。
結局、それ以降今日に至るまで20チームが新球場を建設し、それ以外でもドジャース、エンゼルス、ロイヤルズなどのチームが大幅な改修工事を行なっている。
そしてブレーブスも、そんな新球場を開業したチームの1つだった。
ブレーブスの本拠地「ターナー・フィールド」は、1996年のアトランタ五輪用に建設されたメインスタジアムを、五輪終了後に野球専用スタジアムとして改装し、翌1997年に開業したものだ。
まさにアトランタの栄光を象徴するランドマークである。
それなのにブレーブスは、まだ開業18年目の球場を見限り、2016年で満了するリース契約を更新せず、2017年から新球場へ移転する決断を下したのだ。
一体、なぜ。その理由は何なのか?