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“スペア”という立場を受け入れて。
伊野波雅彦、競争心よりも平常心。 

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寺野典子

寺野典子Noriko Terano

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photograph byGetty Images

posted2014/06/06 12:30

“スペア”という立場を受け入れて。伊野波雅彦、競争心よりも平常心。<Number Web> photograph by Getty Images

キプロス戦で79分から出場し、危なげなく相手攻撃陣をおさえ勝利に貢献した伊野波雅彦。出場の可能性が低いことを自覚しつつ、なお自らの役目を果たす姿はチームに安心感を与えている。

 右サイドバックの内田篤人、センターバックの吉田麻也、ボランチの長谷部誠など、怪我による長期離脱組の復帰に注目が集まる日本代表。しかし、鹿児島合宿で酒井高徳が右ひざを負傷し、5月27日のキプロス戦で長友佑都も右ふくらはぎを打撲で途中交代。そこで起用されたのは、伊野波雅彦だった。

 J2から唯一のメンバー入りとなった伊野波は、先発出場だけでなく、試合出場もわずかだが、ザックジャパンには常に招集される常連選手。守備のポジションであれば、どこでも起用できるユーティリティープレイヤーな点が評価されてきた。キプロス戦でのキレのある上下運動からは、コンディションの良さが伝わってきた。

 しかし、6月2日のコスタリカ戦で伊野波に出番が回ってくることはなかった。

 左サイドバックで先発したのは、今野泰幸だった。

「フレンドリーマッチは、選手のコンディションをチェックしつつ、オプションを試す場でもある」と、この試合酒井高がベンチ外だったことで、今野をテストしたと語る指揮官にとって、長友、酒井高に続く左サイドバックは、今野ということなのだろうか?

 実際、伊野波が出場したキプロス戦では、今野はすでにセンターバックとして先発し、後半開始時に吉田と交代していた。長友が負傷した後半34分での出場は不可能だったゆえの、伊野波の起用だったとも考えられる。

「自分が何をやるかはわかっているから」

 コスタリカ戦での今野の起用について訊くと、伊野波は「選手を選ぶのは監督だから」と答えた。

「(監督は)いろいろと探っているような状況だと思うので。(試合に起用されなかったことで)自分の気持ちがどうこうなることはない。チームの状況も理解できるし、このチームでやってきた経験があるので、自分が何をやらなくちゃいけないのかもわかっているから。今は選手それぞれが、自分の立ち位置を考える時期だとも思う。どんな立場や状況であっても、その中で自分の良さを出して行かなくちゃいけない」

 伊野波は淡々とそう続けた。

【次ページ】 「アクシデントの時に試合に出るのが自分」

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