筋金入りのアズーリ、集大成のブラジルへ。

　名手として知られるピルロのフリーキックは、アズーリの重要な得点源になりうる。これまでの2度のW杯では不発に終わっているが、ユベントスをスクデット3連覇に導いた今シーズン、変幻自在の6ゴールを叩き込んだ。

　年を追うごとに凄みと切れ味を増すピルロの右足に、代表最年長の主将ブッフォンは絶大な信頼を寄せる。

「アンドレア・ピルロは“カルチョの天才”。他に言うべき言葉が見つからない」

　イタリア北部の緑豊かな自然の中で、ピルロは育った。草木の間を縫いながら、起伏に富んだ地面でボールと戯れ、意のままに操る術を身につけた。

　熱帯にあるマナウスや酷暑のレシフェでも、彼は幼い頃の原風景をグラウンドに描こうとするだろう。

　20年近くイタリアを背負ってきた名手の見納めの舞台が、ブラジルW杯になる可能性は高い。筋金入りのアズーリとして生きてきたピルロの集大成を目に焼き付けておくのだ。