抑えを固定できず、勝ちパターンが形成できていない。

　実は現在のメッツは、先発陣以上に中継ぎ陣に深刻な問題を抱えている。

　開幕以来、抑えは固定できず、一時期は日替わりで対応していた。

　現在は先発から回ったメヒアが抑えを担っているが、まだ固定化するまでには至っていない。しかも、抑えにつなぐ8回を任せるセットアップ投手も固定できない状態で、いくら先発が好投を演じても、未だ中継ぎ陣が勝ちパターンを形成できないという状況である。

　そんな中で中継ぎの一翼を担ってきた松坂は、コリンズ監督が指摘するように、ロングリリーフ、中継ぎ、抑えと様々な場面で登板しながらチームの期待に応える投球を披露してきた。

松坂自身も苦笑いを浮かべるしかない皮肉な状態。

　先発登板前の成績は、14試合に登板し、1勝1セーブ、防御率は2.14。中継ぎ陣で最も安定した成績を残していた。

　つまり、不慣れな中継ぎで一生懸命やっているうちに、いつしかメッツの中継ぎ陣として必要不可欠な存在になるという、なんとも皮肉な結果になってしまったのだ。

「チームに必要とされているのならいいのではないでしょうか……」

　松坂自身もあくまで限定先発だとした上で、自分の置かれた現状には苦笑いを浮かべるしかなかった。

　もちろんこれまでの経験値を考えれば、松坂にとってより自分の仕事ができるのは中継ぎではなく先発のはずだ。その辺りも試合後のコメントに見え隠れしていた。

「投げていて先発は楽だなという感じです。先発を楽しむというより2巡目、3巡目のことを考えながら投げていました。それはリリーフ時にはほとんど必要のないことなので、それは先発だからできる投げ方というんですかね。（先発は）大胆にも投げられるが、それがリリーフになると1点もあげたくないというか……。先発の時はそういう気持ちはないですね。

　リリーフですと、どうしても勝っていれば先発の勝ちを意識しますし、他のリリーフが出したランナーの後に投げれば、それを返したくないと思いますし、（先発よりは）余計疲れますね」

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