MLB東奔西走BACK NUMBER
「ダイスケはブルペンで価値が高い」
松坂大輔、久々の勝利と遠い“先発”。
posted2014/05/31 10:30
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph by
Getty Images
メッツの松坂大輔投手が、5月25日のダイヤモンドバックス戦で今季初めて先発登板し、6回3安打2失点6三振2四死球の内容で、見事勝利投手に輝いた。
4月16日にメジャー昇格を果たして以来、中継ぎ投手を任され、先発したのはマイナーで投げた4月12日以来のことだった。
しかも、5月23日の試合が4回途中でノーゲームとなった結果、25日に急きょダブルヘッダーが組まれることになり、2試合目に先発投手を回せない事態となったことによる、まさに緊急の先発登板となった。
中1日の準備期間に加え、それまでの中継ぎでの最長登板は5月13日のヤンキース戦で投げた3回2/3、球数56球のみ。
久々の先発で、100球前後投げられるのかメディアの間で不安視する声もあがっていた。2回に打球がフェンスに当たるという不運な三塁打などで2失点を許したものの、それ以外はわずか1安打とダイヤモンドバックス打線を圧倒した。
余力を残した、省エネピッチング。
「球数も次の回(6回裏)に打席が回ってくることもわかっていたので、あのイニング(6回表)はもう一度ギアを上げて抑えにいきました。
打席が回ってこなかったら次の回(7回)も行かせてもらえたかもしれないですけど、とにかく長いイニングを投げないといけないと思っていました。チームにとって必要最低限のことはできたと思います。
今のところしんどかったというのはないですね。明日になったらわからないですけど、たぶん大丈夫だと思います」
試合後の松坂本人の言葉を聞いてもらっても分かるように、90球を超えた6回に再びギアを上げることができるほど、体力的には余力を残す展開だった。
残念ながら同点で迎えた6回裏、無死二塁で打順が回ってきたため、代打を出されてしまったが(結果的にはこの代打が決勝タイムリーを放ち、松坂に勝利投手の権利をもたらしてくれた)、もし違った場面であれば続投でもおかしくない状況ではあった。