フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
相次ぐペアとアイスダンスの解散劇。
世界のフィギュア界で、いま何が?
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2014/05/17 10:30
まだ記憶に新しい、さいたまスーパーアリーナで行われた世界選手権にて。リンク中央が金メダルのアリオナ・サフチェンコ&ロビン・ゾルコーヴィ組(ドイツ)。
「ペアというのは政略結婚のようなもの」
北米でも、まるでウィルス感染でもしたかのように、次々とペア解散のニュースが続いている。
2年連続の米国チャンピオン、メリッサ・キャステリ&サイモン・シュナピア、4年連続カナダ選手権3位で2011年四大陸選手権3位だったロウレンス&スウィガーズなど、世界のトップクラスまであと一息というペアたちが、あっけなくペア解散を発表。負傷、年齢的なことなどそれぞれの理由はあるものの、まだこれからというペアがいともあっさり解散というのは、驚きである。
カナダのムーア=タワーズ&モスコヴィッチのディラン・モスコヴィッチは、2013年四大陸の会見でこのように語ったことがある。
「ペアというのは、たとえて言うなら政略結婚のようなもの。傍からは良く見えても、相性が悪いと日々の練習では苦しむことになる。幸いぼくたちは気が合い、練習に対する姿勢も似ているのでラッキーでした」
だがそう口にした彼とパートナーのムーア=タワーズも、この4月の末に解散を宣言した。2年連続GPファイナルに到達し、埼玉世界選手権で4位と惜しいところでメダルを逃した彼らは、そのうち世界選手権の表彰台に上がるだろうと予想されていただけに、残念だ。
アイスダンスでも驚愕のパートナー交代が。
もう1つのカップル競技、アイスダンスでもあっと驚く発表があった。
ソチ五輪銅メダリストのエレナ・イリニフ&ニキタ・カツァラポフが、世界選手権終了後にチーム解散を宣言したのである。以前から不仲説の噂はあったものの、解散理由は正式には発表されていない。
20歳と22歳のイリニフ&カツァラポフは、これからのアイスダンス界を担っていくだろうと期待されていた若手チームである。ソチ五輪のトップ2チームが出場しなかった埼玉世界選手権では、彼らが優勝候補とされていたが、ショートダンスでミスがあり総合4位に終わった。その直後、カツァラポフが埼玉に来る以前に新しいパートナー候補とトライアルをしていたことがわかり、埼玉でメダルを逃したのは精神的な影響もあったのではないかと言われていた。
2人はチーム解散後、埼玉世界選手権で総合7位だった同じくロシアのヴィクトリア・シニツィナ&ルスラン・ジガンシンと、それぞれ男女パートナーが入れ替わるという珍しい顛末になった。
こうして新たな2アイスダンスチーム、イリニフ&ジガンシン、シニツィナ&カツァラポフが誕生となった。彼らの場合は国籍を移る必要がなかったので、すぐにでも国際試合に出場することは可能である。果たしてより上位にくるのはどちらの組か。興味深い戦いが繰り広げられるに違いない。