フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
相次ぐペアとアイスダンスの解散劇。
世界のフィギュア界で、いま何が?
posted2014/05/17 10:30
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Getty Images
ソチ五輪が終了して2カ月余り。フィギュアスケートもオフシーズンとなったが、このところ北米、欧州で次々とトップクラスのペア、アイスダンスのチームが解散を宣言するという事態が相次いでいる。
五輪が終了した年は、選手にとっても競技生活の一段落。このタイミングでコーチを移ったり、ペアを解消して新しいパートナーを探したりというのは、これまでも珍しいことではなかった。
だが今回、ソチ五輪終了後からこの2カ月半の間にチーム解消したペア、アイスダンスチームの数は、異常事態とも言えるレベルである。
世界タイトル5度獲得のドイツペアが解散。
まずチーム解散したトップ選手の筆頭は、ソチ五輪ペア銅メダリスト、埼玉で5度目の世界タイトルを手にしたドイツのアリオナ・サフチェンコ&ロビン・ゾルコーヴィだろう。埼玉世界選手権後、34歳のゾルコーヴィは競技引退を希望したが、30歳のサフチェンコは4年後の五輪で金メダルを目指したいと宣言。フランス出身、25歳のブルーノ・マッソを新しいパートナーに選び、これまでと同じくインゴー・シュトイヤー・コーチの許でトレーニングを開始した。国際スケート連盟(ISU)のルールでは、代表する国を変えたスケーターは、1シーズンISU主催の大会に出場することができない。新チーム、サフチェンコ&マッソが本格的に国際試合デビューするのは、2015年秋になるだろう。
NHK杯優勝のロシアペアも予想外の解散へ。
サフチェンコたちの場合は、ペアの一方が年齢を理由に競技引退を希望したという、わかりやすい事情である。だがロシアのベラ・バザロワ&ユーリ・ラリオノフの場合は、予想外のペア解散だった。
ソチ五輪で6位だった彼らは、過去に欧州選手権で3度メダルを手にし、2012年にはNHK杯で優勝したこともある、将来を期待されるペアだった。だが埼玉世界選手権で7位に終わった日の夜、ラリオノフがバザロワにペア解消の意図を伝えたという。
ラリオノフは2008年、当時服用していたダイエットピルが原因で検出された違法物質がドーピング検査にひっかかり、2年間の試合出場停止を言い渡された。だがその間もバザロワは他からのペア結成オファーを断ってラリオノフを待ち、一緒に成長を遂げてきたペアである。それだけに、今回の解散は驚きのニュースだった。
現在ラリオノフはエストニア出身のナタリア・ザビアコとの新ペア結成を検討中で、バザロワは、昨シーズン世界ジュニア4位だったアンドレイ・デプタトとの新ペアを結成したと発表された。