フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
相次ぐペアとアイスダンスの解散劇。
世界のフィギュア界で、いま何が?
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2014/05/17 10:30
まだ記憶に新しい、さいたまスーパーアリーナで行われた世界選手権にて。リンク中央が金メダルのアリオナ・サフチェンコ&ロビン・ゾルコーヴィ組(ドイツ)。
解散は飛躍のための前向きな“離婚”か!?
これ以外にも、まだ未確認ながら解散の噂のあるペアがいくつかある。こうした相次ぐペア、アイスダンスチームの解散は、言ってみるなら近代社会の離婚率の高さに似ているかもしれない。いまどきの若者は忍耐力がなくなった、と非難することは簡単だろう。だが思い切って新たなスタートを切ることで、素晴らしい飛躍を遂げた例もある。
タチアナ・ヴォロサジャルとマキシム・トランコフは、バンクーバー五輪終了後まもなく以前のパートナーとのペアを解消し、新しい組を結成。それからわずか2年で世界チャンピオンになり、ソチ五輪ではみごと金メダルを獲得した。その息の合い方は、一緒に滑るために生まれてきたような、運命的なものすら感じさせる。彼らのような例を見ると、自分にもっと相応しいパートナーをと貪欲に求めていく選手の気持ちもよくわかるのだ。
良好な関係を長年維持して成功した例も。
一方同じソチ五輪で金メダルを獲得したアイスダンサー、メリル・デイビス&チャーリー・ホワイトは、1997年に結成し、17年間も一緒に滑っているという、全米一長いパートナーシップを保ってきたチームだ。ホワイトはソチで、私にこう語った。
「アイスダンスで成功する秘訣は、滑りがどうこうよりも、いかにパートナーシップを大切にして持続をさせていくことができるかではないかと思うのです。ぼくたちがすごく若い頃にチームを結成したのは有利だったと思っています」
彼らのように継続は力なり、を信じるか。あるいはあるところで見切りをつけて新たなスタートを決意するか。それぞれのペアにとって、どちらが正解となるのか、その答えは誰にもわからない。各選手たちが信じた道を進んでいくのを、私たちは見守ることしかできないのである。