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異才の復活と新星の飛躍。
~ブルワーズ好調の理由と不安~ 

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芝山幹郎

芝山幹郎Mikio Shibayama

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posted2014/05/10 10:40

異才の復活と新星の飛躍。~ブルワーズ好調の理由と不安~<Number Web> photograph by Getty Images

一昨年はわずか3セーヴ、昨年も10セーヴにとどまったKロッドが甦り、チームを牽引する。

高齢の先発陣の中で、一際目を引くペラルタ。

 もうひとつの驚きは、25歳の若手右腕ウィリー・ペラルタの急成長だろうか。出身はドミニカ。メジャーに上がったのは'12年から。'13年の成績は11勝15敗、防御率=4.37にとどまっている。平均球速は150km以上出ていたが、奪三振=129、与四球=73という数字が示すとおり制球がよくない。マット・ハーヴィ、ホゼ・フェルナンデス、スティーヴン・ストラスバーグという同世代の一級品とはだいぶ差があった。

 だが、今季は明らかにひと皮剥けている。39と2/3イニングスを投げて4勝1敗、防御率=2.04という数字も上出来だが、注目すべきは奪三振=32と与四球=9という数字だ。

 去年に比べると、奪三振/与四球のレシオが1.77から3.56に跳ね上がっている。最大の理由は高速スライダーの習得だろう。この球種を覚えてから、ペラルタの安定感はぐんと向上した。カイル・ローシュが35歳、マット・ガーザとマルコ・エストラーダが30歳、エース格のヨバーニ・ガヤルドも28歳と、先発陣の平均年齢がやや高いだけに、ペラルタへの期待は高まる一方だ。

出塁率も打率も低いチームが躍進する「例外」。

 それにしても、チーム四球数が大リーグ全体で25位、チーム出塁率が全体で24位、チーム打率が全体で18位、チーム長打率が全体で11位というブルワーズのスタッツは、やはり気になる。現在の大リーグは、「相手の先発にできるだけ球数を投げさせて救援投手を打ち込み、勝利につなげる」という発想が主流を占めているからだ。アスレティックスやレッドソックスは、この傾向を重視した戦略で勝ち進んでいる。

 過去10年間の球史を振り返ってみても、四球が少なくて(全体の25位)打率の低い(全体の13位)チームでプレーオフに進出したのは、'07年のカブス(85勝。ただし奪三振数が全体の1位で、チーム防御率が全体の4位だった)ぐらいしか見当たらない。'14年のブルワーズは、果たしてその数少ない例外に属することができるのか。

 ナ・リーグ中地区で前評判の高かったカーディナルスやパイレーツの調子がなかなか上がってこないだけに、「打ちたがり」ブルワーズの好調は意外に長つづきする可能性もないとはいえない。逆にいうと、ゴメスやセグラといった気分屋の打棒に頼ることなくペナント争いに生き残るためには、ガヤルド、ペラルタ、Kロッドの投手陣がチームを引っ張っていく必要があるだろう。「ミラクル球団」への変身を揚言するのは時期尚早だろうが、こういうダークホースが出現すると、ペナントレースは面白くなる。

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