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投高打低と戦力の均衡。
~MLB、2014年の順位予想~
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph byGetty Images
posted2014/03/29 10:40
田中将大は、1年目にしてヤンキース浮沈の鍵を握る存在。期待に応えて名門復活なるか。
骨太で頑丈で老成した田中は着実な結果を残すタイプ?
わりと常識的な予想になってしまった。唯一ギャンブルを張ったのは、ヤンキースの地区優勝か。順当に行けば、デヴィッド・プライスが残留したレイズが強いだろうが、ここへ来て田中将大とブライアン・マッキャンのバッテリーが予想以上の活躍を見せる可能性が出てきた。とくに田中は、顔や身体からフェリックス・ヘルナンデスに通じる気配を発散させている。
正直なところ、好きなタイプの選手ではないが、骨太で頑丈で老成しているという特性は、この世界では強みになる。ダリル・ストロベリーやドワイト・グッデンやエリック・デイヴィスのような天才肌が意外に大成せず、ロジャー・クレメンス、アルバート・プーホルス、マイク・トラウトのようなガッチリ型が着実な結果を残すのは、好き嫌いを別として黙殺できない傾向だ。
投高打低は変わらず、西地区の方が混戦?
それはともかく。
こうして予想を立ててみると、投高打低の傾向は変わらず、混戦の度合は西地区のほうが高い。面白そうなのはやはりナ・リーグで、なかでも要注目はドジャースだ。クレイトン・カーショー+ザック・グリンキー+柳賢振の先発トリオは健在だし、マット・ケンプやアンドレ・イーシアが本調子になれば、ハンリー・ラミレス+ヤシエル・プイグ+エイドリアン・ゴンザレスの打線は30球団随一ではないか。95勝以上を記録する球団の最有力候補と呼んでも過言ではないだろう。
他に90勝を超える可能性があるのは、若手の層が厚いカーディナルスと、ダグ・フィスターが加わって先発陣がさらに強化されたナショナルズ。ワイルドカードにはブレーヴスとジャイアンツを推したいが、パイレーツが今季もしぶとそうだし、投手陣が充実したパドレスも、地味な大穴として挙げておきたい。
一方のア・リーグはどうだろうか。期待したいのは高齢ヤンキースの逆襲だが、戦力的に抜けているのはやはりタイガースだ。ジャスティン・ヴァーランダー+マックス・シャーザー+アニバル・サンチェスの強力先発トリオがフル回転すれば、新監督ブラッド・オースマスの采配もかなり楽になる。
それ以外の注目株は、例によって「いつの間にか勝っている」アスレティックスと、転んでもプレーオフを外さないレイズだろう。もう一枚のワイルドカードは、レンジャーズが最有力で、ロイヤルズがそれを追う展開になるのではないか。昨年の覇者レッドソックスは、ヤンキース以上の高齢化が気になって無印にした。デヴィッド・オルティースや上原浩治が昨年同様の活躍を見せれば、もちろん無視することはできないのだが。