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諦めが悪い“一流半”の男たち。
パルマ躍進の中心はカッサーノ!?
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2014/03/18 16:30
チームをけん引するカッサーノは、現在11得点でランキング9位。心身のバランスさえ崩れなければ、その才能の輝きは今もなお衰えていない。
パルマに春が来た。
16日、うららかな陽気に包まれた敵地サンシーロへ乗り込んだパルマは、CL敗退で傷心のミランを4-2で一蹴し、来季ELの出場圏である6位をキープした。
開始5分で退場者を出したミラン相手に、FWカッサーノが2ゴールを上げ、がぜん有利に。一時は同点に追いつかれる場面もあったが、チーム力と勢いの差を見せつけて2点を追加し、完勝を納めた。
パルマのリーグ戦無敗記録は、ついに16試合に伸びた。最後に喫した黒星は、0-1で敗れた昨年11月2日のユベントス戦に遡る。
その後ナポリに競り勝ち、インテルと互角に打ち合いながら、順位をじわじわ上げてきた。
「正直にいえば、16戦無敗という数字に満足したくない。今日のミラン戦では、追いつかれた後に突き放した。この選手たちの精神力こそ、私が求めているものだ」
口調こそ穏やかだが、指揮官ドナドーニの言葉からは、作り上げたチームへの確かな自信が伝わってくる。
ダイエットに励み、輝きを取り戻したカッサーノ。
躍進するパルマの中心にいるのは、かつてビッグクラブでトッププレーヤーになりきれなかった“一流半”の男たちだ。
昨夏インテルを追い出された悪童FWカッサーノは、指揮官ドナドーニの期待に応えるべく、継続的にダイエットに励んでいる。不摂生を抑え、お腹さえ引っ込めば、カッサーノが翻弄できない守備陣などそうそうあるものではない。
古巣ミラン相手のドッピエッタ(2ゴール)で、カッサーノは、サンプドリア時代以来5年ぶりにシーズン2桁得点を記録した。
現在までの11ゴールとアシスト数との合算によって、シーズン終了後の特別ボーナス20万ユーロが支給されるのは確実だ。指揮官ドナドーニは「物事の分別と良心、そして柔軟性をもって対話をすること」が、悪童カッサーノを御する秘訣だ、とミラン戦後に明かしている。