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世界選手権、日本勢のライバルは?
羽生結弦に挑む5人の海外男子選手。 

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田村明子

田村明子Akiko Tamura

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photograph byKaoru Watanabe/JMPA

posted2014/03/17 10:40

世界選手権、日本勢のライバルは?羽生結弦に挑む5人の海外男子選手。<Number Web> photograph by Kaoru Watanabe/JMPA

ソチ五輪ではSPで羽生結弦、パトリック・チャンに続く3位につけたが、FPでデニス・デンに逆転され惜しくもメダルを逃したハビエル・フェルナンデス。今年の欧州王者であり、世界選手権へのモチベーションも高い。

五輪を逃した悔しさを糧にするロシアのコフトゥン。

 エフゲニー・プルシェンコは過去に手術をした腰を再び痛めて五輪の個人戦を棄権し、3月2日にイスラエルで再手術を受けた。世界選手権には、ロシアチャンピオン、マキシム・コフトゥンが出場する。

 18歳のコフトゥンは、今シーズンがシニアGPデビューだった。ロステレコム杯のSPで2度の4回転を成功させて、GPファイナルに初進出。ジャンプの能力も高く、大きな体を使った表現力もめきめきと伸びている。だがまだ演技の安定性に欠け、ロシア選手権では優勝するも、ブダペスト欧州選手権では5位に終わった。その結果、ロシアフィギュアスケート連盟は、五輪代表をプルシェンコに決定した。

 だがソチ五輪出場を逃した悔しさ、そして同じエレーナ・ブイアノワコーチのもとでトレーニングしているアデリナ・ソトニコワが金メダルを獲得したことは、おそらく彼の闘志に火をつけたであろうことは、間違いない。ソトニコワが、「団体競技に出してもらえなかった悔しさが、個人戦で良い演技をできた理由」と語ったように、アスリートにとって、悔しさとは次への飛躍のスプリングボードになる大事な鍵なのである。

 フェルナンデスと同じように、2種類の4回転を武器に持つコフトゥンは、ノーミスで滑ったらかなりの得点を出す可能性を秘めている。目を離すことのできない選手の一人だ。

チャンは欠場ながら、カナダからはレイノルズが。

 パトリック・チャンが疲労を理由に不参加を表明した中、世界選手権に出場するカナダのトップ選手は、2013年四大陸選手権チャンピオンのケヴィン・レイノルズである。

 昨年大阪で主催された四大陸選手権で、高橋大輔、羽生結弦らを退けてレイノルズが優勝したのは、予想外の結末だった。だが彼もやはり、2種類の4回転を跳ぶことができる高い身体能力を持つ選手である。

 加えてこのところ、表現力もぐっと伸ばして滑りそのものも質が高くなってきた。4回転を武器に持つトップ選手たちのうちで、その日にベストな演技をした選手の誰が勝ってもおかしくない。そんな中でレイノルズも、表彰台に上がるチャンスはある。

 また米国からは、ジェレミー・アボットとマックス・アーロンが出場する。

 スケート関係者からは「全てを兼ね備えたスケーター」と評価の高いアボットながら、ソチ五輪では実力を出し切れずに12位に終わった。

 大きな試合でなかなか実力を発揮できないのは、競技者として致命的な弱点ではある。だが彼のスケーティングの質の高さ、音楽表現の豊かさなどは、やはりジャッジたちが求めているものに違いない。ジャンプさえきまれば、高い評価を受ける選手である。

 アーロンは強いジャンパーとして知られる2013年全米チャンピオンで、4回転サルコウを得意とする。彼とアボットの二人が合計13位以内の成績をあげて、米国に4年ぶりとなる3枠をもたらすことができるかどうかが注目される。

【次ページ】 悔しさをバネにする、日本の2人が最大のライバルか?

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